『冬のさ春のね』『豊臣兄弟!』『恋愛裁判』 倉悠貴がドラマ・映画など多方面で大躍進
また、冬クールは今泉力哉が脚本・監督を務める『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)にもゲスト出演。主人公・文菜(杉咲花)の高校時代の恋人である柴咲秀を演じている。第3話で初登場した倉は、連続テレビ小説『おちょやん』(2021年/NHK総合)で姉弟役、映画『市子』(2023年)では恋人役を務めた杉咲と3度目の共演を果たす。ただ、関係性は変わっても、お互いの言葉をなぞるように2人の間で交わされる会話は、彼らの距離感でしか生まれない息遣いがあった。
年末に実家のある富山に帰省した文菜は、数人の高校時代の友人たちとこじんまりとした同窓会を開く。そこに遅れて駆けつけたのが柴咲だった。それぞれの心の距離を探るようにして、2人が別れた理由で盛り上がった二次会のカラオケを経て、文菜と柴咲は並んで歩きながら帰路につく。長いワンカットのなかで、当たり前のように持ち合わせる等身大の悩みに真剣に向き合う柴咲の実直な人となりを、さりげない言葉の節々に滲ませる倉。個性的なキャラクターというよりも、この世界のどこかでひっそりと日常的な生活を営んでいる人物を、自然と役柄に馴染ませることができるのも倉の魅力のひとつだろう。
それは現在、公開中の映画『恋愛裁判』でも垣間見ることができる。倉が演じるのは、アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンターを務める山岡真衣(齊藤京子)の中学時代の同級生・間山敬。大道芸人として生きる彼は、偶然、東京で再会した真衣と恋に落ちていく。運命的な出会いと衝動的な感情で、人気急上昇中のアイドルと恋愛関係になるというあらすじだけを読むと、間山のことを特別な人間だと思う人もいるかもしれない。しかし、実際に作品を観てみると、彼も現実の暮らしと地に足を着けて向き合っている人物であることがわかる。
アイドルの恋愛禁止ルールに疑問を持ちながらも、あくまで真衣の意思を尊重する姿は誠実であるがゆえに、彼女との間にある透明な壁を前にして、一線を引いているような印象も受けた。本作では、真衣が間山のパフォーマンスを遠くから見守る場面を筆頭に、目を合わせることにも距離を感じさせるシーンが多い。だからこそ、物理的な距離にかかわらず、心理的な距離が変動していく2人の関係性を、齊藤とともに表現した倉の繊細な芝居が光る作品だった。
ジャンルも演じるキャラクターも問わず、多彩な役柄を務めることができる倉が、さまざまな映画やドラマの現場に重宝されるのはある意味、必然といえるかもしれない。2026年も大忙しの一年となるのは間違いないが、さらなる飛躍を遂げる姿を見届けたい。
小説家で古着屋バイトの主人公・文菜は、過去の経験から恋人と真剣に向き合うことを避けていた。そんな文菜が自分の恋愛を見つめ直していく。演出には、映画監督の山下敦弘と山田卓司も参加している。
■放送情報
『冬のなんかさ、春のなんかね』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~放送
出演:杉咲花、成田凌、岡山天音、水沢林太郎、野内まる、志田彩良、倉悠貴、栁俊太郎、細田佳央太、内堀太郎、林裕太、河井青葉、芹澤興人
脚本:今泉力哉
監督:今泉力哉、山下敦弘、山田卓司
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:Homecomings 「knit」(IRORI Records / PONY CANYON)
プロデューサー:大倉寛子、藤森真実、角田道明、山内遊
チーフプロデューサー:道坂忠久
制作協力:AX-ON、Lat-Lon
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/fuyunonankasa/
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