2025年の年間ベスト企画

リアルサウンド映画部編集部4人が選ぶ、「2025年 年間ベスト映画TOP10」

佐藤アーシャマリア

『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』©ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie

1. 『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』
2. 『F1/エフワン』
3. 『爆弾』
4. 『片思い世界』
5. 劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
6. 『ウィキッド ふたりの魔女』
7. 『ひゃくえむ。』
8. 『教皇選挙』
9. 『10DANCE』
10. 『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』

 このラインナップで大事にしたのは、“劇場で観る”映画体験。直近で観た『10DANCE』については、観終わった翌日にもう一度観たくらい、今年1番ハマった作品ではある。ただ、「映画館で観たかった」という点でいえば他の作品も譲れず、泣く泣く第9位に(とはいえ、年末年始でもう2回は観る)。同じく邦画の『爆弾』『片思い世界』は、映画館というハコだからこそ引き出される感情があり、観終わったあとに残る余韻が忘れがたい作品だった。 

 海外作品からは『F1/エフワン』『ウィキッド ふたりの魔女』『教皇選挙』『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』を選出。『F1/エフワン』は、とにかくレースシーンの迫力と臨場感が桁違いで、特に車視点の映像が最高! 2025年は邦画・アニメ映画なども含めて180分超えの大作が多かった中、体感時間が最も短く感じたのが『ウィキッド ふたりの魔女』だった。『教皇選挙』と『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』は毛色こそ違うものの、時間をあけてもう一度観たい作品だった。

 アニメーション映画は『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』、『ひゃくえむ。』をセレクト。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』と『ひゃくえむ。』については、原作が最高なのだから、面白くならないはずがない。そのうえで、アニメーションとしての表現もしっかりと原作の熱量に応えていたのが良かった。そして何より、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』である。ヒプマイならではのライブ感に加え、2018年から追い続けてきた身として、推したちが巨大なスクリーンでラップバトルを繰り広げる姿を目撃できたこと自体が、忘れがたい映画体験だった。

徳田要太

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) ~ネクストシャイン!~』©みかみてれん・竹嶋えく/集英社・わたなれ製作委員会

1. 『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) ~ネクストシャイン!~』
2. 『羅小黒戦記2』
3. 劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
4. 『HERE 時を越えて』
5. 『トリツカレ男』
6. 『劇場版総集編「ガールズバンドクライ」』
7. 『ゆきてかへらぬ』
8. 『ファーストキス 1ST KISS』
9. 『Flow』
10. 『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』

『羅小黒戦記2』と劇場版『チェンソーマン レゼ篇』がトップに入り込むのは、アニメシーンを普通に追っている人からすれば特に強調することでもないので割愛。

 問題は『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) ~ネクストシャイン!~』をあえて第1位にしたことだが、信じられないことにこれはロバート・ゼメキスの『HERE 時を越えて』と比較可能である(そんなわけないじゃん、ムリムリ!)。両作とも「劇場体験とは何か」を痛烈に問いかけてくる類の作品(現象)だからだ。『HERE』の定点カメラと圧倒的な歴史体験は、劇場の椅子に2時間弱拘束されることの喜びを思い出させてくれる。そして限定上映である『わたなれ ネクストシャイン』に集ったオタクたちが満員の劇場で苦笑を分かち合う体験は、「興行」としての祝祭を暗闇の中で見知らぬ他人と共有する喜びを思い出させてくれる。

 つまり『HERE』と『わたなれ』はそれぞれ、「スクリーンをまなざす私個人」、「スクリーンに集った私たち」を強烈に自覚させる装置として2025年最重要映画作品である。

 第5位以下で言うと、アニメ作品については視聴覚表現のナラティブに優れている傑作として、『トリツカレ男』『劇場版総集編「ガールズバンドクライ」』『Flow』『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』を選出した。

 残る邦画については、『ファーストキス 1ST KISS』は坂元裕二の新たな代表作として。『ゆきてかへらぬ』はこれが広瀬すず最高傑作であるという独断だけで選んだので、おそらく最もシンプルに好みだけでランクインしたことに自分でも少し驚く。

関連記事