『ストレンジャー・シングス』ダファー兄弟に聞く、生死の判断基準とレジェンド参加秘話
2016年7月より配信が始まったNetflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』がついに完結を迎える。完結編となるシーズン5では、“過去最大の大冒険”と“最終決戦”が描かれる。シーズン1からショーランナー、脚本、監督、製作を務めてきたのは、マット・ダファーとロス・ダファーのダファー兄弟だ。プロモーションで来日を果たした2人に、いよいよ完結を迎える『ストレンジャー・シングス』について話を聞いた。
登場人物の生死の判断で重要なのは“バランス”
ーー『ストレンジャー・シングス』がこのシーズン5をもっていよいよ完結します。編集作業もほぼ終えているそうですが、お二人の手応えはいかがですか?
マット・ダファー(以下、マット):カラーグレーディングやサウンドまでほぼ完成した状態で、あとは少しだけ手直しするのみです。僕たち二人もそうですが、キャストのみんなも、結末やその出来に関して非常に満足しています。視聴者の皆さんがどのような反応を見せてくれるか、とても楽しみです。
ーー結末に関してはどの時点で決めていたんですか?
ロス・ダファー(以下、ロス):「この結末でいこう」というのは数年前から決めていました。シーズン5の制作に入るときに脚本家たちの間でミーティングがあったのですが、その時点でもうみんなの中で結末は見えていました。あとはその着地点に向かって、どうやってストーリーを紡いでいくかが重要でした。
ーーシーズン4は2つのパートに分かれていましたが、今回は3つのパートに分かれています。その意図について教えていただけますか。
マット:シーズン4はパンデミックを挟んだこともあって、当初の予定よりだいぶ制作が遅れてしまったんです。そういう事情もありつつ、なるべく早く世に出したいこともあって、VOL 1とVOL 2に分けて配信することになりました。一方で今回のシーズン5は、あらかじめ2章立てにすることは決まっていたんです。言ってしまえば前編・後編の映画のようなイメージですね。シーズン5の第4話がVOL 1の完結編のようなかたちになります。そして、一通り撮影を全て終えてから、Netflix側からフィナーレは単独で配信しようと打診されました。みんなが同じタイミングで共有できるので、僕たちもそれはとてもいいアイデアだと思いました。アメリカとカナダでは劇場で上映することも決まっているのですが、最後はみんなで一緒に観られる機会を作りたかったという意図があります。
ーー約10年続いた『ストレンジャー・シングス』では、途中で惜しくも命を落としてしまったキャラクターも多数存在します。いちファンとして、今回のシーズンでも誰かが命を落とすのではないかと心配しているのですが、どのキャラクターを生かしてどのキャラクターを殺すのかは、どのように決めているのでしょうか?
ロス:全ては“バランス”ですね。観ている人にショックを与えるために、あるキャラクターをデモゴルゴンに簡単に殺させることはいくらでもできます。でも、もちろんそんなことはしません。僕たちは、そのキャラクターが命を落としてしまうことで、周りの人たちにどのような影響が生まれるかを考えています。例えば、マイク(フィン・ヴォルフハルト)を殺してしまったら、ただただみんなが悲しむだけで終わってしまいますよね。『ストレンジャー・シングス』はアドベンチャーでもあるので、そういうわけにはいきません。誰かを死なせるのであれば、ストーリーの中でその死にきちんと意味を持たせなければなりません。僕たちにとっても、親しみのあるキャラクターを失うのはとても悲しいことです。その責任は、きちんとストーリーの中で果たしたいと思っています。
『グリーンマイル』フランク・ダラボン監督参加の背景
ーーあなたたちはショーン・レヴィと共にシーズン1から各エピソードの監督も務めていますが、過去には『ファインディング・ニモ』シリーズのアンドリュー・スタントン(シーズン2第5話)や『プレデターズ』のニムロッド・アーントル(シーズン4第5話・第6話)がエピソード監督として参加していますよね。そして今回のシーズン5では『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』などのフランク・ダラボンが第3話と第5話の監督を務めています。彼が監督に復帰するのは約11年ぶりということも含めてとても驚いたのですが、彼が参加することになった経緯について教えてください。
マット:僕たちは小さい頃から彼の大ファンで、いつか一緒に仕事がしたいと思っていました。ただ、今話してくれたように、彼はこの10年近くほぼ引退状態だったので、声をかけることなど全く考えていませんでした。そんな中、エージェントが「フランク・ダラボンが『ストレンジャー・シングス』の大ファンらしいから一度会ってみないか」と声をかけてくれました。それで2時間ほど一緒に話をする機会をいただいたんです。それが本当に楽しい時間だったので、終わってから監督をお願いしてみようという考えに至りました。メールを送ったら、「1週間ほど待ってくれ」と返ってきてドキドキしたのですが、最終的に返事は「Yes」でした。心の底から嬉しかったです。幼少期からリスペクトしている監督ですし、ハリウッドでの経験も非常に豊富な方なので、いろいろな話を教えてくれました。僕ら兄弟は常に成長を求めているので、彼からたくさんのことを学べたのは、僕たちのキャリアにおいても非常に大きな経験でした。
ーー貴重なお話をありがとうございます。これだけ長い間、キャスト・スタッフと共に作り上げてきた『ストレンジャー・シングス』がいよいよ完結を迎えるわけですが、現在の率直な心境を教えていただけますか?
ロス:非常に複雑な気持ちですね。撮影の最終段階に入った頃からそうなのですが、今でも終わりを迎えていることを信じたくないですし、その現実を拒否しているところです(笑)。またシーズン5のフィナーレが配信されるタイミングで、きっといろんな感情が湧き上がってくるんだと思います。終わるタイミングは間違いなくここが適切だったと思っていますが、いろんな人たち、いろんなキャラクターとはお別れになってしまうので、そういう意味ではとても寂しい気持ちでいっぱいですね。
■配信情報
Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界 5』
VOL 1(第1~4話)&VOL 2(第5~7話): 配信中
フィナーレ(第8話): 2026年1月1日(木)10:00〜配信
出演:ウィノナ・ライダー、デヴィッド・ハーバー、ミリー・ボビー・ブラウン、フィン・ヴォルフハルト、ゲイテン・マタラッツォ、ケイレブ・マクラフリン、ノア・シュナップ、セイディー・シンク、ナタリア・ダイアー、チャーリー・ヒートン、ジョー・キーリー、マヤ・ホーク、プリア・ファーガソン、ブレット・ゲルマン、ジェイミー・キャンベル・バウアー、カーラ・ブオノ、エイミーベス・マクナルティ、ネル・フィッシャー、ジェイク・コネリー、アレックス・ブロー、リンダ・ハミルトン
クリエイター:ザ・ダファー・ブラザーズ
製作総指揮:ロス・ダファー、マット・ダファー、ショーン・レヴィ、ダン・コーエン、イアイン・ペイターソン、カーティス・グウィン