年末年始に笑って泣いて胸キュンしてゾクっ Netflix配信中の韓国ドラマ3選
2025年も数々の良作を生み出した韓国ドラマ。年末年始に今年の作品をイッキ見しようと計画している人もいるかもしれない。そこで、1年の終わりと始めを笑って泣いて胸キュンしてゾクっとできるNetflixの韓国ドラマ3選をご紹介したいと思う。
『暴君のシェフ』
まず1作目は、韓国でも日本でも大ヒットしたファンタジー時代劇『暴君のシェフ』。2025年を代表する一作といえるだろう。ホームドラマ以外の韓国ドラマで、老若男女問わず家族みんなで楽しめる作品は久々かもしれない。
物語は、ユナ(少女時代)演じる現代のフランス料理のシェフが朝鮮王朝に飛行機の中で突然タイムスリップしてしまうところから始まる。演出は、『星から来たあなた』のチャン・テユ監督。2024年に韓国で一大ムーブメントを巻き起こし、年末にシーズン2もスタートした料理サバイバル番組『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』からインスピレーションを得て本作を制作したのだとか。
見どころは、何といっても宮廷内で行われる料理バトルの場面だ。粛清も厭わない暴君に、ヒロインはさまざまな課題(料理バトル)を強いられるも、天才的な料理の腕前と持ち前の度胸で切り抜けていく。ハラハラする展開、韓国ならではのセンスも加えたフランス料理の美しさも見応えたっぷりだが、暴君や朝鮮王朝時代の人々が現代の料理を食べた瞬間が本作の象徴的なシーン。あまりの美味しさに目がきらりと光り、花火が打ち上がり、別世界に行ってしまう描写に、笑いながら幸せな気持ちにさせられる。
朝鮮王朝第10代国王・燕山君という実在の暴君をモチーフにしたイ・ホンを演じたイ・チェミンは、本作を通じて次世代スターに躍り出た。代役として撮影1カ月前にキャスティングされたことが話題になったが、そんな状況の中でも華麗に演じてみせた。昨今、韓国俳優は大型犬男子ブームが到来しているが、イ・チェミンも190cmの長身イケメン。彼の出世作を観るという意味でも視聴する価値がある。
『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』
2024年のNetflixオリジナルドラマ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』も長いタイトルだったが、2025年の韓国ドラマの長いタイトル№1は、この『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』だろう。
大企業の部長だった男の転落劇が描かれる本作。リュ・スンリョン演じる主人公キム・ナクスは、昔の価値観を引きずる2025年の社会ではあるまじきタイプの男だ。会社では、上司の顔色ばかりうかがい、部下が自分より高価な物を持つことに目くじらを立てたりする。家では、「25年間、大企業に勤め、ソウルに家をもち、息子を大学にやった。それはすごいことなんだ」と家族に息巻く。
そんな光景を笑いを交えながら描いていくが、キャラクターも物語の設定も、韓国ドラマにしてはオーバー過ぎないのが日本人に馴染みやすい。主人公のキャラクターも典型的な嫌なおじさんではなく、会社での同僚想いな面や、家庭での妻と仲良しな面も描かれていく。リュ・スンリョンが演じていることもあるのか憎めない。
『ヒーローではないけれど』『SKYキャッスル ~上流階級の妻たち~』のチョ・ヒョンタク監督の演出力と、心地いいOSTも効いている。『SKYキャッスル』のように、毎話、最後に絶妙に盛り上がりをもってくるので、次から次へと観たくなるだろう。
いつになっても現実を直視できず、どんどん転落していく主人公。はたしてその先で掴んだものとは? 原作は人気小説で、かなり内容が変更されたため、韓国の原作ファンからは不評の声もあったというが、別の作品として観れば、むしろ秀作といえる。一度でも社会人を経験したことがある人なら、いろいろ思うところがあるはず。前半は笑えて、後半は泣ける一作だ。