『ばけばけ』を彩る“若手トリオ” 杉田雷麟×日高由起刀×下川恭平が放つ三者三様の輝き
日高由起刀
日高は、俳優としてだけでなくモデルとしても活動する若手だ。183cmという恵まれた体格に加え、韓国語も堪能という国際的なバックグラウンドを持っている。2024年の映画『HAPPYEND』ではヒロインの友人・コウ役に大抜擢され、第81回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門でワールドプレミアを迎えたことでも話題になった。その後はNHK連続テレビ小説『あんぱん』にも出演し、朝のドラマの空気に自然と溶け込む存在感を見せている。柔らかな物腰の中に、ふと芯の強さがのぞく、そんな若手ならではの魅力が印象的だった。7月期放送の『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系)でも、生徒会会長役で存在感を示していた。
『ばけばけ』で日高が演じるのは、松江中学の秀才・正木清一。日本の将来に大きな野望を抱きつつ、どこか子どものような素直さも残る人物だ。日高はこの役について「秀才でありながら少し子供のような一面も持っています」と語り(※1)、その“揺れ”を大切に演じたいと話している。脚本の中に散りばめられた“笑い”の要素を楽しみながら、「舞台となる明治時代の「学生」としての自覚を持ちながらも、同級生の丈や小谷とのやり取りや、何かに没頭している時の彼の世界観に注目していただければ嬉うれしいです」と意気込んでいた(※1)。日高のまっすぐな眼差しが、正木という青年の理想と未熟さの両方を自然に引き出してくれそうだ。長身を生かした端正な立ち姿と、丁寧に感情を積み重ねる演技が絡み合い、物語の中で静かに存在感を広げていくはずだ。
『HAPPYEND』出演で海外評価も得ており、演技派への道を着実に歩む日高。明るく謙虚な人柄も魅力で、まだ現役大学生でもあるだけに、学び続ける中でどんな俳優像を描いていくのか注目したい。
下川恭平
下川は、幼い頃から演技やダンスを学び、高校時代には自ら音楽ユニットを組むなど、多彩な表現に挑戦してきた若手俳優だ。音楽活動と並行して俳優としても経験を重ね、映画『国宝』や『まなみ100%』、『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)など、幅広い作品に出演してきた。近年は自ら歌う映画のテーマ曲をリリースするなど、シンガーソングライターとしての一面も持ち合わせている。今回の『ばけばけ』は朝ドラへの初出演となるが、決して突然現れた新人というわけではない。コツコツ積み重ねてきた表現の経験が、ようやく大きな舞台で花開こうとしている。
『ばけばけ』で下川が演じる小谷春夫は、クラスメイトの中でもとりわけ真っすぐで、どこか憎めない好青年だ。天真爛漫で直情的、少し抜けたところもあり、つい目で追いたくなるキャラクターでもある。下川自身は小谷について「不器用ながらもまっすぐな性格が見ていて微ほほ笑えましくなるような、魅力溢あふれるキャラクター」と話しており、コメディタッチの場面でも下川ならではの軽やかさが活きそうだ。これまで比較的落ち着いた役が多かっただけに、新しい表情を見せるきっかけにもなりそう。小谷の明るさと不器用さは、下川が持つ伸びやかな表現力や音楽的な感覚と相性がよく、物語に柔らかな彩りを添えてくれるだろう。
『ばけばけ』という舞台は、三者三様のキャリアをもつ彼らにとって大きなチャレンジだ。いずれもまだ人生の折り返し地点にも至っていない世代だが、『ばけばけ』での経験を糧に、さらに高みを目指す可能性を秘めている。
参照
※. https://www.steranet.jp/articles/94215
※. https://realsound.jp/movie/2025/09/post-2163329.html
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK