『ばけばけ』を彩る“若手トリオ” 杉田雷麟×日高由起刀×下川恭平が放つ三者三様の輝き
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』では、ヘブン(トミー・バストウ)が松江中学の教壇に立ち、生徒たちと向き合う日々が描かれている。
その中でヘブンの教え子として中心にいるのが杉田雷麟、日高由起刀、下川恭平の3人だ。287人が参加したオーディションを通じて選ばれた若手俳優で、それぞれの個性が松江中学の空気にやさしい彩りを添えている。今回は、そんな3人のこれまでの歩みと俳優としての魅力をあらためてたどっていきたい。
杉田雷麟
杉田が初めて大きく注目を集めたのは、映画『半世界』だろう。稲垣吾郎が演じる主人公・高村紘の息子役だった。無理のない自然な佇まいで思春期の揺れを表現し、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞と高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞。デビュー間もない時期に、早くも“確かな存在感を持つ若手”として知られるようになった。その後もNHK連続テレビ小説『エール』、映画『罪の声』や『孤狼の血 LEVEL2』など、重さやスピード感の違う作品に続けて出演。近年は役柄の幅を広げており、最新作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』ではジャパニーズホラーというまったく異なるジャンルにも挑戦している。
『ばけばけ』で杉田が演じる丈は、英語教師・錦織友一(吉沢亮)の弟で、松江随一と呼ばれる秀才という役どころだ。兄を尊敬し、その背中をまっすぐに追いかける――そんな“真面目さ”が物語の中でどう描かれていくのか楽しみな人物である。これまで青年特有の荒さや強さをにじませる役どころが多かった杉田にとって、エリート学生というキャラクターは少し意外でもある。制作統括の橋爪國臣は「杉田さんならではの独特の温度感をまとったお芝居は、兄を演じる吉沢さんと通じるものがあります」と語っており(※1)、兄弟の空気をどうつくり上げていくのかにも注目したい。静かに感情を重ねていく杉田の演技は、こうした真っ直ぐな学生像に自然と厚みをもたらすはずだ。