ティルダ・スウィントン主演のミュージカル映画『THE END(ジ・エンド)』12月12日公開へ
ティルダ・スウィントンが主演を務めた映画『The End(原題)』が、『THE END(ジ・エンド)』の邦題で12月12日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほかにて全国公開されることが決定した。
本作は、1960年代インドネシアで行われた大量虐殺を加害者視点で描いた『アクト・オブ・キリング』が第86回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、さらに同事件を被害者視点で描いた『ルック・オブ・サイレンス』が世界的に注目を集めたジョシュア・オッペンハイマー監督が手がけたミュージカル映画。
初めての長編フィクション作品を、終末後の世界を舞台にしたミュージカルという奇想天外な舞台に設定したオッペンハイマー。もともとは『アクト・オブ・キリング』『ルック・オブ・サイレンス』に続いて「虐殺を通じて権力を握り、富を築いた寡頭支配者たちについて インドネシアで三作目の映画」を撮りたいと思っていたこと明かす。
しかし「『アクト・オブ・キリング』が公開された後、私は安全にインドネシアに戻ることはできませんでした。なので、同様の手法で富を蓄える他の地域の寡頭支配者たちについて調査を始めたのです」とコメント。そして「私は中央アジアで、石油権益を得るために暴力を行使した石油王を見つけました。彼は家族のために防空壕を購入していたのです」と、奇妙な出会いを語った。石油王が家族とともに案内してくれたその場所で「どうやって脱出するのか?」「 逃れるべき罪悪感や大惨事とどう向き合うのか?」「愛する者を置き去りにした後悔とどう向き合うのか?」「この場所で新たな世代を育てながら、自らの過去を白塗りするにはどうすればよいか?」「この場所で育てる新たな世代に、自らの歴史を書き換える手段として、どうやって自らの物語を語ればよいか?」などさまざまな質問が頭をよぎったというオッペンハイマー。しかし彼ら自身をよく知らないことに加え、防空壕という発想そのものが、現実逃避の象徴であり「彼自身答えられないだろう」と悟ったそう。
当初監督は、彼らが移り住んでから25年後を舞台にドキュメンタリーを撮ることを考えたが断念し、帰路に観たジャック・ドゥミのミュージカル映画『シェルブールの雨傘』をきっかけに25年後の地下シェルターで暮らすアメリカ人家族をミュージカル仕立てで描くことを考え、「アメリカ的本質を象徴する“絶望的否認と希望”を抱えた家族像を描こう」と決意したことを語っている。
本作ではプロデューサーも務め、母親役で主演を担ったのは、『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』などのスウィントン。そのほか、息子役を『1917 命をかけた伝令』のジョージ・マッケイ、父親役を『ブレット・トレイン』のマイケル・シャノンが担当。それぞれが劇中で歌声を披露している。
舞台は、環境破壊によって居住不可能となってから25年後の地球。ある日、豪華な地下シェルターで暮らす富裕層の家族のもとに、外の世界からひとりの若い女性が現れる。そのことをきっかけに、孤立しながらもルーティーンを守ってきた家族の脆い日常が静かに崩れは
じめ、やがて、自らの過去と存在の真実と対峙することになる。
あわせて公開されたメインビジュアルには、母親(ティルダ・スウィントン)が優雅に鎮座する周囲に、父親、息子、執事、医者と共に暮らす“家族”の姿が捉えられている。
■公開情報
『THE END(ジ・エンド)』
12月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開
出演:ティルダ・スウィントン、ジョージ・マッケイ、モーゼス・イングラム、ブロナー・ギャラガー、ティム・マッキナリー、レニー・ジェームズ、マイケル・シャノン
監督:ジョシュア・オッペンハイマー
脚本:ジョシュア・オッペンハイマー ラスムス・ハイスタ―バーグ
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
2024年/デンマーク・ドイツ・アイルランド・イタリア・イギリス・スウェーデン・アメリカ合作/148分/シネマスコープ/カラー/デジタル/原題:The End/字幕翻訳:松浦美奈 ©Felix Dickinson courtesy NEON ©courtesy NEON
公式サイト:https://cinema.starcat.co.jp/theend/
公式X(旧Twitter):@THE_END_movieJP