『あんぱん』キャストが夏ドラマでも活躍 原菜乃華、中沢元紀、中島歩らの振り幅

中島歩

『あんぱん』写真提供=NHK

 『あんぱん』で中島が演じた次郎は、のぶにとって初めてのお見合い相手であり、初恋の象徴的存在だ。商船学校を卒業した一等機関士で、礼儀正しく誠実な振る舞いはまるで王子様のような輝きを放っていた。

中島歩が語る、作品選びの基準と芝居へのこだわり 「ちゃんと“生きてる人”を演じていたい」

フジテレビ系木曜劇場『愛の、がっこう。』で、高校教師・愛実(木村文乃)の交際相手・川原洋二を演じている中島歩。川原は、大手銀行に…

 一方、『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)では、全く異なる顔を見せている。中島が演じる川原は愛実(木村文乃)の婚約者という立場で登場するが、その裏では既婚女性との不倫を繰り返すなど二面性を抱えた人物だ。さらに、ヒロインの秘密の相手であるカヲル(ラウール)を突き飛ばすという暴力的な一面も見せ、物語をかき乱す存在となっている。『あんぱん』での誠実そのものの人物像と、『愛の、がっこう。』での裏切りを秘めた危うい人物像といういわば光と影のコントラストを鮮やかに演じ分けており、そのギャップを今季は堪能することができるはずだ。

七瀬公

『あんぱん』写真提供=NHK

 七瀬が『あんぱん』で演じた大島コオは、主人公・嵩の成長期に関わる「独創漫画派」のリーダー格だ。美人画を得意とし、芸術家肌の雰囲気を纏いながらも、登場期間は短く、わずか1週間で姿を消す。刹那的でありながらも強烈な存在感を残し、“嵩に刺激を与える人物”として印象に残る役割を果たした。柔らかな佇まいと芸術性を兼ね備えたキャラクターは、視聴者に余韻を与えるものだった。

 ところが、『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』(テレビ朝日系)では一転、物語の結末を左右する犯罪者・兵藤を演じている。警察に追われ、張りつめた空気の中に現れる姿は、それだけで緊張感を生む。『あんぱん』の芸術家・大島コオとは正反対の役どころだが、その演じ分けが見事で、七瀬の自在な表現力をはっきりと示している。しかも、わずか1週間の登場で強い印象を残した『あんぱん』と、最終回という大舞台を任された『大追跡』では、役割の重さもまるで違う。小さな脇役から大きな物語のキーマンまでを担えることこそ、七瀬公という俳優の伸びしろを感じさせるポイントだ。

 『あんぱん』と夏ドラマをまたいで、5人の俳優はまるで別人のような姿を見せている。朝ドラで得た認知度を基盤に、民放ドラマで新しい表情を披露する。その役柄の幅広さは今後さらに広がりを見せていくだろう。筆者にとって、この振れ幅を味わうことが夏ドラマの大きな楽しみのひとつになっている。

■放送情報
『ちはやふる-めぐり-』
日本テレビ系にて毎週水曜22:00〜放送
出演:當真あみ、原菜乃華、齋藤潤、藤原大祐、山時聡真、大西利空、嵐莉菜、坂元愛登、高村佳偉人、橘優輝、石川雷蔵、瀬戸琴楓、髙橋佑大朗、藤枝喜輝、大友一生、漆山拓実、上白石萌音、内田有紀、要潤、榎本司、富田靖子、高橋努、波岡一喜、髙嶋政宏
ショーランナー:小泉徳宏
監督:藤田直哉、本田大介、松本千晶、吉田和弘
脚本:モノガタリラボ(小坂志宝、本田大介、松本千晶)、金子鈴幸
プロデューサー:榊原真由子、巣立恭平、中村薫、平田光一
企画・プロデューサー:北島直明
チーフプロデューサー:松本京子
音楽:横山克
主題歌:Perfume「巡ループ」(UNIVERSAL MUSIC LLC)
制作協力:ROBOT、ウインズモーメント
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/chihayafuru-meguri/
公式X(旧Twitter):https://x.com/chihaya_koshiki

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