エイリアンがついに地球に襲来!? サバイバルスリラー『エイリアン:アース』の注目ポイント
ウェンディたちがこの困難なミッションに挑む宇宙船内は、タイに建てられたセットで撮影された。このリアルで精巧なセットは、視聴者を作品の世界観に没入させる。シリーズのファンとしてうれしいのは、この宇宙船内が1作目に登場したノストロモ号にそっくりだということだ。『エイリアン:アース』は1作目の2年前が舞台ということで、宇宙船のテクノロジーの部分ではそこまで違いがないのだろう。シリーズの生みの親であるリドリー・スコットがエグゼクティブ・プロデューサーを務めている本作は、エミー賞をはじめとする賞レースを席巻した『SHOGUN 将軍』(2024年)のFXによる製作であることも相まって、世界観の作り込みが半端ではない。本格的なサバイバルスリラーを展開するうえで、このリアリティは必要不可欠の要素となっている。
一方で、ハイブリッドの誕生など科学技術の進歩を感じさせる部分もある。『エイリアン』シリーズの魅力のひとつは、科学技術の進歩によるサイボーグやシンセティックの活躍だ。普通の人間と変わらない見た目の彼らは、これまでの作品のなかでもストーリーを左右する重要な役割を担ってきた。『エイリアン:アース』ではそこにハイブリッドも加わり、生身の人間との違いや関係性も注目ポイントのひとつとなりそうだ。未知の生命体が来襲するなか、サイボーグ、シンセティック、ハイブリッドは、破壊されることはあっても人間と違って“死ぬ”ことはない。一方で死から逃れられない人間は、危険な生命体と戦ってまで生き残る必要があるのだろうか。死なないハイブリッドとなったウェンディが、生身の人間である兄ハーミットを助けようとするのは「人間とはなにか」を考えるうえで重要な要素となるかもしれない。
また、ハイブリッドを開発したカヴァリエは若き鬼才で興味深いキャラクターだ。どこか倫理観の欠如を感じさせる彼は、大人の体に12歳の少女の心をもつウェンディとある意味で似た部分を持つ人物ではあるが、彼女とは対極の“純粋さ”を持っている。彼がハイブリッドの開発によってなにを企んでいるのか、純粋なウェンディがその隠された秘密を知ったとき、どのような行動に出るのか。そういったドラマにも期待したいところだ。
『エイリアン』シリーズの最新作、そして初のドラマシリーズとして注目を集める『エイリアン:アース』。主人公ウェンディをはじめとする新たな技術の結晶であるハイブリッドたちは、未知の生命体との戦いのなかで、どのような運命をたどるのか。『エイリアン』シリーズのDNAを受け継ぎながら、新たな要素も詰め込んだ『エイリアン:アース』は、シリーズのファンのみならず、大注目の作品となっている。
■配信情報
『エイリアン:アース』
ディズニープラス スターにて、独占配信中
出演:シドニー・チャンドラー、アレックス・ロウザー、ティモシー・オリファント、エッシー・デイヴィス、サミュエル・ブレンキン、バボー・シーセイ、デヴィッド・リズダール、エイドリアン・エドモンドソン、アダーシュ・ゴーラヴ、ジョナサン・アジャイ、イラーナ・ジェームズ、リリー・ニューマーク、ディエム・カミラ、モー・バーエル
クリエイター:ノア・ホーリー
製作総指揮:リドリー・スコット、デイビッド・ツッカー、ジョセフ・イベルティ、ダナ・ゴンザレス、クレイトン・クルーガー
©2025 FX Productions, LLC. Courtesy of FX Networks and Hulu