興収で読む北米映画トレンド

『ファンタスティック4』北米V2も期待に及ばず MCUの“微妙”な現状とは?

 ランキングの第2位は、ドリームワークス製作のアニメーション映画『バッドガイズ』(2022年)の続編『The Bad Guys 2(原題)』。元強盗だが今は善良に生きている動物たちが、ひょんなことから新たな犯罪集団・バッドガールズの計画に巻き込まれ……。サム・ロックウェルほか前作の声優陣が復帰し、新たにザジー・ビーツやマリア・バカローヴァ、ナターシャ・リオンらが加わった。

THE BAD GUYS 2 | Official Trailer 2

 週末3日間の興行収入は2220万ドルで、予想を上回る好スタート。いまだコロナ禍の影響が残るさなかに大ヒットを記録した前作のオープニング記録に肉薄した。海外興収は2233万ドルで、世界興収は4453万ドル。

 Rotten Tomatoesでは批評家スコア85%、観客スコア95%を獲得。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価と熱い支持を受けた。製作費は8000万ドルなので息の長い興行が期待されるが、『劇場版スマーフ/おどるキノコ村の時空大冒険(パラレルアドベンチャー)』が不振の今、ファミリー層の心をつかめば予想以上の健闘を見せることになるかもしれない。日本公開は未定。

 第3位は、懐かしのコメディ映画『裸の銃を持つ男』シリーズのリブート作『The Naked Gun(原題)』。前3部作の主人公フランク・ドレビンの息子である刑事フランク・ドレビン・Jr.を主人公に、名優リーアム・ニーソンがコメディ映画の主演に本格挑戦した。

The Naked Gun | Official Trailer (2025 Movie) - Liam Neeson, Pamela Anderson

 北米興収1700万ドル、海外興収1150万ドルで、世界興収は2850万ドル。こちらも期待以上の滑り出しで、『裸の銃を持つ男』シリーズでは史上2番目のスタートとなった。映画館でのコメディ不振がささやかれる昨今だが、ジェニファー・ローレンス主演のR指定コメディ『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』(2023年)の初動記録を上回っている。

 パラマウント・ピクチャーズは本作で賭けに出た。「ヒットには女性観客とZ世代が不可欠」といわれるなか、『裸の銃を持つ男』シリーズを31年ぶりに復活させ、あえて高齢の白人男性をターゲットとしたのだ。観客の男女比は男性62%・女性38%で、白人が全体の7割、年代別では35歳以上が全体の半数を占めた。

 しかし予想外だったのは、SNSでのプロモーションも奏功したのか、若い観客がこの映画に注目したことだ。年代別で最も比率が高かったのは25歳~34歳の27%(ほとんどの観客が前作の公開時点で生まれていない!)。出口調査では若年層の支持も非常に大きかったという。

 製作費は4000~4200万ドルと、こちらも息の長い興行が期待されるなか、注目すべきはRotten Tomatoesで批評家90%・観客77%という(ナンセンスコメディらしからぬ)大絶賛を受けていること。CinemaScoreでも「A-」評価だから、一部のファンだけが好むようなユーモアの映画ではないということだ。こちらも日本公開は未定。

 第6位はサンダンス映画祭で高評価を受けた恋愛ホラー映画『Together(原題)』。週末に先がけて7月30日に公開され、5日間で1085万ドルを記録した。実生活で夫婦のデイヴ・フランコ&アリソン・ブリーを主演に、ある日いきなり身体が結合した共依存カップルを描く。Rotten Tomatoesでは批評家91%という高評価だが、衝撃的な内容ゆえだろう、CinemaScoreでは「C+」評価にとどまっている。話題作ながら日本公開未定。

TOGETHER - Official Teaser Trailer - In Theaters July 30

北米映画興行ランキング(8月1日~8月3日)

1.『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(→前週1位)
4000万ドル(-66%)/4125館/累計1億9842万ドル/2週/ディズニー

2.『The Bad Guys 2(原題)』(初登場)
2220万ドル/3852館/累計2220万ドル/1週/ユニバーサル

3.『The Naked Gun(原題)』(初登場)
1700万ドル/3344館/累計1700万ドル/1週/パラマウント

4.『スーパーマン』(↓前週2位)
1390万ドル(-44.1%)/3537館(-393館)/累計3億1625万ドル/4週/ワーナー

5.『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(↓前週3位)
870万ドル(-34.1%)/3240館(-310館)/累計3億1760万ドル/5週/ユニバーサル

6.『Together(原題)』(初登場)
680万ドル/2302館/累計1085万ドル/1週/NEON

7.『F1/エフワン』(↓前週4位)
410万ドル(-35%)/2024館(-591館)/累計1億7329万ドル/6週/ワーナー

8. 『I Know What You Did Last Summer(原題)』(↓前週6位)
265万ドル(-49%)/2303館(-903館)/累計2926万ドル/3週/ソニー

9. 『劇場版スマーフ/おどるキノコ村の時空大冒険(パラレルアドベンチャー)』(↓前週5位)
177万ドル(-67.6%)/2295館(-1209館)/累計2850万ドル/3週/パラマウント

10.『ヒックとドラゴン』(↓前週7位)
135万ドル(-53.5%)/1459館(-887館)/累計2億6040万ドル/8週/ユニバーサル

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年8月4日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W031/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/fantastic-four-first-steps-box-office-sharp-drop-1236336444/
https://deadline.com/2025/08/box-office-fantastic-four-bad-guys-2-naked-gun-1236476381/
https://variety.com/2025/film/box-office/fantastic-four-box-office-craters-naked-gun-opening-weekend-1236477352/

■公開情報
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
全国公開中
出演:ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラック
日本版声優:子安武人(リード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック役)、坂本真綾(スー・ストーム/インビジブル・ウーマン役)、林勇(ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ役)、岩崎正寛(ベン・グリム/ザ・シング役)、楠大典(ギャラクタス役)、上田麗奈(シルバーサーファー役)
監督:マット・シャクマン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2025 20th Century Studios / © and ™ 2025 MARVEL.
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/fantastic4

 

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