『ラスト・ブレス』立体音響予告公開 バイノーラル音響で深海の生々しい音を360°再現

 9月26日より全国公開される『ラスト・ブレス』の立体音響予告編が公開された。

 本作は、“地球上で最も危険を伴う職業”のひとつと呼ばれている飽和潜水士の実話を映画化したサバイバルスリラー。究極の悪夢というべきシチュエーションにひとり取り残されたダイバーの運命と、彼を救うべく極限の救出劇に挑む人々を描く。『教皇選挙』や『ノスフェラトゥ』の映画会社フォーカス・フィーチャーズの配給で2月に全米公開されると、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』に次いで興収チャート初登場2位を記録した。

 物語の舞台は、水深91メートルの海底。完全なる暗闇に覆われ、常人の想像が及ばない世界だ。本作の主人公である若き飽和潜水士は命綱を失い、海上からの酸素供給も絶たれたまま深海に置き去りにされてしまう。もはや“生存確率ゼロ”といっても過言ではない、この絶体絶命の危機を脱する手段はあるのか。そのとき必死の救助を試みる人々は、どのように行動したのか。

 監督を務めたのは、2019年に発表した同名ドキュメンタリー映画が反響を呼んだアレックス・パーキンソン。実際に事故が起こった船での撮影を実施するとともに、飽和潜水の作業手順や機材などの細部のリアリティーを徹底的に追求した。

 経験豊富な最年長の潜水士ダンカン役を『スリー・ビルボード』のウディ・ハレルソンが演じたほか、ストイックな潜水士のデイヴを『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のシム・リウ、絶体絶命の危機に見舞われるクリスを『ピーキー・ブラインダーズ』のフィン・コールがそれぞれ演じている。

映画『ラスト・ブレス』“極限潜水”立体音響予告篇

 公開された映像は「“極限潜水”立体音響予告篇」と銘打たれ、バイノーラルミックスによって深海の生々しい音を360°再現。水深91メートルの暗く孤独な海底に、水や呼吸音が生々しく響き渡る。飽和潜水士たちは海底に張り巡らされたパイプラインや通信ケーブルの補修作業を行うため、この孤独な世界に身を投げる。彼らが潜る深さは水深300メートルに到達することもあり、そのあまりに過酷な状況から、飽和潜水士は“地球上で最も危険を伴う職業”と言われている。本映像では、そんな環境における“音”が強調されることで、まるで飽和潜水士の一員になって、実際に暗闇の深海を潜っているかのような恐怖と臨場感を体感することができる。

 今回の映像の制作にあたった予告編制作会社バカ・ザ・バッカのディレクター岩﨑伊津子氏は「深海に吸い込まれたように感じるシーンを使いました。そして、命綱、海の底へ落ちていく感覚、呼吸、心臓音から飽和潜水士たちの緊張感を体感していただけると嬉しいです」とコメントしている。

 もともと音楽家になりたかったというパーキンソン監督は、深海の描写と同じくらい“音”にこだわったとオフィシャルインタビューで語っている。音に携わるスタッフには、作曲にSFゲーム『サイバーパンク2077』のサウンドトラックを担当したポール・レナード=モーガン、整音技師に『教皇選挙』のサウンドデザインを手がけたベン・ベアードが集結。2人とも、ドキュメンタリー版『ラスト・ブレス』でもパーキンソン監督とタッグを組んでおり、音に対するこだわりはドキュメンタリーが完成した2019年の時点で共有できていたという。

 特に彼らがこだわったのは、潜水士たちの呼吸音と、クリスの命綱が切れるシーンだ。緊迫した状況下で、潜水士たちの呼吸が次第に荒くなり、そこに水を搔き分ける音も重なっていく。観客を不安にさせる様々な音がどんどんと積み重なっていき、観客が「何か起こる!」と思った瞬間、突然プツンと命綱と音が切れる。そして、クリスが深海へと投げ出されると同時に、観客たちも映画館の中で静寂へと身を沈める体験をすることになる。“静寂”で深海の恐怖を表現するというアイデアは、音のプロフェッショナルたちのこだわりによって生み出された。

岩﨑伊津子(「“極限潜水”立体音響予告篇」ディレクター/バカ・ザ・バッカ) コメント

立体音響予告を制作するにあたり、本編を見る際、セリフと音楽の音を無くし、効果音だけをヘッドホンを通して聴きました。そのなかで深海に吸い込まれたように感じるシーンを使いました。そして、命綱、海の底へ落ちていく感覚、呼吸、心臓音から飽和潜水士たちの緊張感を体感していただけると嬉しいです。

■公開情報
『ラスト・ブレス』
9月26日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開
出演:ウディ・ハレルソン、シム・リウ、フィン・コール、クリフ・カーティス
監督:アレックス・パーキンソン
脚本:ミッチェル・ラフォーチュン、アレックス・パーキンソン&デヴィッド・ブルックス
原作:ドキュメンタリー『ラスト・ブレス』(メットフィルム)
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
2025年/米・英/英語/93分/カラー/5.1ch/シネマスコープ/原題:Last Breath/字幕翻訳:大西公子/映倫区分:G
©LB 2023 Limited
公式サイト:lastbreath.jp

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