『フェルマーの料理』甘鯛のポワレお茶漬けを作ってみた 夏バテの季節にこそ食べたい一皿
甘鯛を170度の油で皮目から焼く。身の部分はアロゼ(油をかけながら焼く技法)で仕上げる。最初は「本当にこれで大丈夫なのか?」と不安になったが、スプーンで丁寧に油をかけ続けていると、徐々に甘鯛の表面に変化が現れ始める。
茶碗半分のご飯にほし貝柱の出汁を注ぐ。生ハムの香りを移したオイルを回しかけ、最後に生ハムの粉末をかけて完成!!!
もう少し原作に近づけるなら、切り身はやや小さめでも良かったかもしれないが、なんとかおいしそうに仕上げることができた。ひと口食べてみると、アロゼで丁寧に火を入れた白身がふんわり柔らかく、まったく硬くならないのが驚きだ。甘鯛の旨味、生ハムの塩気、貝柱の深いコクが、どれも喧嘩せずに絶妙に重なり合う。
そして実際に食べて改めて感じたのは、見た目こそフレンチなのに、しっかり「お茶漬け」だということ。出汁がごはんにすっと染み込み、さらりと口に運べる軽やかさは、夏バテで食欲が減るこの季節にもかなり良さそうだ。
上品な味わいなのに、どこかほっとする。そんな武蔵議員親子への想いが伝わってくるような、まさに愛情あふれる一皿になっている。
正直なところ、今回のレシピは一般家庭では少しハードルが高いのではと身構えていた。だが、そこは『フェルマーの料理』。丁寧に作れば家庭でも本格的な味わいに仕上がった。他のレシピに比べて材料費はやや張るものの、特別な日のメニューとして挑戦する価値は十分にある。手順自体はかなりシンプルなので、「第1話のナポリタンは作ったのでもう一品何かやってみたい」という人にもぜひおすすめしたい。