『フェルマーの料理』甘鯛のポワレお茶漬けを作ってみた 夏バテの季節にこそ食べたい一皿

 あの映画やドラマに出てくる美味しそうな料理は、どうやったら食べられるのか。スクリーンの向こうから食欲を誘う、濃厚で魅力的なパスタや、物語の中から香り立つように登場する心温まるクリーミーなスープ。ああ、どうしても食べてみたい。でもその料理たちは、画面の中の世界でしか味わえない……。

 しかし、ふと思った。もし食べられないのなら、自分で作るのはどうだろう?  そんな“エンタメグルメ”に憧れるライターのすなくじらが実際に料理を作ってみる連載「絶対食べたいグルメ」。第7回は、アニメ『フェルマーの料理』より岳が武蔵議員親子に作った「甘鯛のポワレお茶漬け」でお送りする。

 さて、アニメ『フェルマーの料理』だが、毎回登場する料理に思わず食欲をそそられてしまう。筆者も、2023年に放送されたドラマ版放送時に、ナポリタンやオムライスを実際に作ってみたことがあるが、アニメでもその魅力は変わらない。さらに、家庭で無理なく再現できるレシピが公開されているのも嬉しいポイントだ。

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現在放送中のTBS金曜ドラマ『フェルマーの料理』に登場する料理のクオリティには目を見張るものがある。画面越しに香りや味まで伝わっ…

 アニメ版では次回予告の際に、隔週でハイライトとなった料理の実写動画とともに、レシピの手順が公開されている。実は、ドラマ版でも同じ料理のレシピが紹介されていたのだが、よく見比べてみると、手順がわずかに異なっている。

 たとえば、今回作る甘鯛のポワレでは、「生ハムを焼く」という工程がアニメ版のレシピで新たに加えられており、細かな違いがあるのだ。作品のファンであれば、ぜひドラマ版とアニメ版の両方を見比べてみてほしい。両作品の制作陣それぞれのこだわりが垣間見え、非常に面白い。

 なお、アニメ版には手順の動画はあるものの詳細な分量の記載がないため、今回は分量についてはドラマ版の方を参考にさせていただいた。

■材料(1人前)

甘鯛:切り身1枚
薄力粉:適量
生ハム:8枚
グレープシードオイル:300g
ほし貝柱:20g
日本酒:大さじ1
ご飯:適量

 まずは、干し貝柱を水に浸して、ゆっくりと出汁を取る。ここでのポイントは、日本酒を少量加えること。貝柱特有の臭みがやわらぎ、より澄んだ旨味を引き出すことができる。

ほし貝柱はネットで事前に準備しておくのがおすすめ

 続いて生ハムを半量に分け、グレープシードオイルでじっくりと煮る。

生ハムの香りを油に移す

 グレープシードオイルとは、ワインを醸造する過程で取り除かれるブドウの種から抽出される植物油のこと。さらりとした軽い口当たりでクセがなく、加熱にも強いため、炒め物や揚げ物、ドレッシングなど幅広く使われているそうだ。

 オリーブオイルやココナッツオイルのような独特の香りや風味が少ないため、料理本来の味を引き立ててくれるのが特徴だ。なるほど、ホタテの出汁を生かした繊細なこの一皿には、まさにうってつけのオイルといえるだろう。

左が焼く前、右が焼いてカリカリに仕上がった生ハム

 天板にクッキングシートを敷き、残りの生ハムを並べて、170度のオーブンで10分ほど加熱する。焼き上がったら、冷ましてから細かく砕いておく。筆者の自宅にはオーブンがなかったため、トースターで代用してみたのだが、意外にもうまく仕上がった。焼きたてはやや柔らかいものの、少し置けばすぐにパリパリになり、その変化に驚かされる。ちなみに塩気もほどよく、これだけでワインのおつまみにもぴったりの一品だ。

パッケージにもブドウが

 甘鯛の切り身の準備。鱗を逆立て、余計な鱗があれば丁寧に剥がす。小麦粉をまぶして、いよいよ焼きの工程へ。

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