戸田恵子は『あんぱん』における最重要ピース “てっかのマキちゃん”の立体化に期待大

 朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)には多彩な俳優陣が顔を揃えている作品だが、放送開始から半年が経過して物語が折り返し地点に入ったいま、すべての出演者に登場の必然性を感じている。これは私だけではないだろう。ヒロイン・のぶ役の今田美桜を中心に、誰一人として替えが効かないものになっているのだ。けれども登場はまだこれからでありながら、すでにその最たる存在だといえる者がいる。そう、戸田恵子だ。こう考えているのも私だけではないだろう。

 本作は、あの国民的キャラクターである『アンパンマン』の生みの親となった夫婦をモデルに、のぶと、やがて彼女の夫となる幼なじみの嵩(北村匠海)の激動の生涯を描いていくものだ。世代に関係なく日本中で愛され続ける作品とキャラクターがどのようにして誕生したのか、私たちはこの『あんぱん』をとおして知りつつあるところ。のぶと嵩は新たな職場である高知新報で再会し、いま再びふたりのドラマが大きく動き出した。果たしてこれからどのような展開になっていくのだろうか。

 期待に胸を膨らませずにはいられないこの流れの中、戸田恵子が登場するのだ。演じるのは薪鉄子というキャラクター。のぶがこれから出会うことになる高知出身の代議士らしい。

 戸田といえば、やなせたかしの絵本『アンパンマン』を原作としたテレビアニメ『それいけ!アンパンマン』(日本テレビ系)で、主人公・アンパンマンの声優を務める者として広く知られている。映画『ラヂオの時間』(1997年)や大河ドラマ『新選組!』(2004年/NHK総合)などの三谷幸喜作品をはじめ、数多くのヒット作の誕生に貢献してきた俳優だが、“戸田恵子=アンパンマン”として認識している人も少なくないのではないか。戸田が『あんぱん』に未登場でありながら、その登場に必然性を感じているのはこれが理由である(嵩の恩師役として登場した山寺宏一ももちろんそうである)。

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