池袋が『BLEACH』一色に 『BLEACH THE DEATHBERRY』をリアルタイム世代がレポート
2025年6月、池袋の街がTVアニメ『BLEACH』一色に染まった。
筆者は今年で30歳。まさに『BLEACH』とともに青春を過ごした世代だ。中学時代、友人たちと鬼道の詠唱を暗記し合い、「卍解」と叫びながら傘を振り回していたあの頃を思い出す。そんな私たちBLEACH世代にとって、現在行われている『BLEACH THE DEATHBERRY』は、単なるイベントではない。それは、20年という歳月を超えた“帰還”だった。
TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』が最終章を迎えようとしている今、池袋の街全体を巻き込んで開催されるこの大型イベント。その全貌を、一人の『BLEACH』ファンとして余すところなくお伝えしたい。
護廷十三隊への入隊 「BLEACH WORLD」で夢の実現
バンダイナムコ Cross Store 東京で行われている「BLEACH WORLD」。入り口をくぐると、そこには等身大の護廷十三隊隊長のパネルが並んでいた。山本元柳斎重國の威厳、朽木白哉の冷徹な美しさ、更木剣八の獰猛な笑み……。原作で見慣れたはずの彼らが、現実世界に降臨したかのような錯覚に陥る。
ふと思う。「尸魂界篇」で、まだ力も経験も浅かった一護が、この錚々たる隊長格を相手に戦い抜いたのだと。改めて、一護の途方もない勇気と成長を実感させられる。
しかし、このエリアの真骨頂は「護廷隊士 入隊僉議」にある。
『BLEACH』ファンなら誰もが一度は妄想したはずだ。「もし自分が護廷十三隊に入るなら、何番隊がいいだろう?」と。六番隊で朽木隊長の下で修行するか、十一番隊で剣八と共に戦うか、それとも十二番隊で涅マユリの実験台に……いや、それは遠慮したい。
この企画は、そんなファンの妄想を現実にしてくれる。適性試験は、まるで“BLEACH版MBTI診断”。質問に答えていくうちに、自分の本質が護廷十三隊のどの隊の理念と合致するかが明らかになっていく。そして実技試験。実際に斬魄刀(のレプリカ)を手に取り、スクリーンに現れる虚と対峙する。さらに驚いたのは、鬼道の詠唱パートだ。かつて暗記した詠唱を、今ここで実際に唱えることになるとは。
結果、筆者は浮竹十四郎隊長の十三番隊配属となった。正直、自分では意外な結果だったが、診断結果の「優しさと他人を守ることを重視する」という評価に妙に納得してしまった。入隊証も発行されるので、学生時代を『BLEACH』とともに過ごした人にはぜひオススメしたい企画だ。
黒棺を食す 衝撃のTVアニメ『BLEACH』コラボメニューは必見!
護廷隊士となった記念に特設カフェへ。
メニューを見て思わず笑ってしまった。「敵襲だ 先ずは紅茶でも淹れようか」プレートや、「逆様邪八宝塞パフェ」など、ファンのツボをおさえたネーミングが並ぶ。しかし、最も興味深かったのは「破道の九十・黒棺」だ。
黒い箱状の“黒棺”そのもののデザートなのだが、フードの正式名称は完全詠唱。
「滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器……」
店員さんの前で真面目に詠唱する大人たち。シュールな光景だが、これこそが『BLEACH』ファンの正しい姿だろう。
千年血戦篇への没入 「BLEACH THE LOCUS OF BRAVE Ⅱ」
サンシャイン60展望台へ移動。ここで開催されている「BLEACH THE LOCUS OF BRAVE Ⅱ」は、まさに千年血戦篇の世界への入口だった。
特に目を引いたのは、アニメーション制作のための制作資料だ。イメージネームから完成画面への変遷、戦闘シーンの動きの解析など、制作の裏側が惜しげもなく公開されている。久保帯人先生の緻密な世界観が、いかに忠実に、そして時にはそれ以上の表現力でアニメ化されているかを知ることができた。
展示の中でも特に胸を打たれたのが、Aqua Timez「OLDROSE」のスペシャルMV制作展示だ。TVアニメ『BLEACH』とAqua Timez。この組み合わせに、どれだけの思い出が詰まっているだろう。「千の夜をこえて」「ALONES」「Velonica」「MASK」などの楽曲とともに、過ごした平成の日々が蘇る。
20周年記念として制作されたこのMVは、歴代OP・EDのオマージュカットがちりばめられ、まさにTVアニメ『BLEACH』の歴史そのものだった。展示では、その制作過程や設定画が公開されており、クリエイターたちの『BLEACH』への愛情が随所に感じられた。
池袋の街全体がBLEACHに染まる
池袋P’PARCOでは、6月26日から「BLEACH MONOCOLOR POPUP SHOP」がオープン予定だ。「MONOCOLOR」シリーズのデフォルメキャラクターを使用したグッズ展開で、シックでかわいらしいデザインが特徴とのこと。会場限定の抽選会も実施されるそうなので、グッズコレクターは要チェックだ。
そして小腹が空いたところで、GiGOのたい焼きへ。ここではコラボたい焼きとして「BLEACH焼き」が楽しめる。
GiGOのたい焼きを食べるのは初めてだったが、これが予想外の美味しさ。まず、たい焼き自体が本格的なのだ。20分かけて焼き上げるという本物志向で、外はカリッと、中はもっちり。さらに購入特典としてデフォルメキャラのアクリルチャーム(前後半 各12種)がランダムで付いてくる。ぜひコンプリートを目指してほしい。