『キャスター』臓器移植の壁と命の重さのジレンマ “本橋”道枝駿佑が進藤と華の板ばさみに

 華が藤井親子を助けようとするのは、多分に個人的な動機から発していて、気持ちはわかるものの、盲目的に突っ走るあやうさも感じた。華自身、グレーであることを自覚しており、ユキノを死なせたくない一心で自分を納得させているように見える。独自取材を続けていた進藤は、そんな華の心情も理解した上でスクープのために泳がせた。それを察知した華は、真弓と示し合わせて先手を打った、はずだった。

 対立する進藤と華に挟まれていたのが本橋(道枝駿佑)だ。本橋は華に同行してひまわりネットに潜入する一方で、市之瀬(宮澤エマ)や山井(音尾琢真)たちニュースゲート取材班の一員として華に密着する。では単純に二重スパイかというとそうではなく、本橋の中で公正な報道と命の重さはどちらも失われていいものではない。その上で、同僚として華に過ちを犯させるわけにいかないという責任感が伝わってきた。

 第6話は第7話に続く内容だった。華と真弓が直面する葛藤は、かけがえのない命を個人の側から見るか、社会の側から見るかの違いと言い換えられる。報道はどちらが正しいとジャッジするのではなく、現行制度を擁護しながら、その矛盾を鋭く突く。ある意味、究極の二枚舌だが、視聴者に判断材料を提供することが使命であり、そのこと自体に問題はない。大事なのは真実を伝える意志と、それが誠実で真摯なものかだ。進藤と華にその姿勢はあるだろうか。

日曜劇場『キャスター』

テレビ局の報道番組を舞台に闇に葬られた真実を追求し悪を裁いていく社会派エンターテインメント。圧倒的な存在感で周囲を巻き込んでいく型破りで破天荒な主人公・進藤壮一が、視聴率低迷にあえぐ報道番組『ニュースゲート』を変えていく。

■放送情報
日曜劇場『キャスター』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:阿部寛、永野芽郁、道枝駿佑、月城かなと、木村達成、キム・ムジュン、佐々木舞香、ヒコロヒー、山口馬木也、黒沢あすか、堀越麗禾、馬場律樹、北大路欣也(特別出演)、谷田歩、内村遥、加藤晴彦、加治将樹、玉置玲央、菊池亜希子、宮澤エマ、岡部たかし、音尾琢真、高橋英樹
脚本:槌谷健、及川真実、李正美、谷碧仁、守口悠介、北浦勝大
音楽:木村秀彬
プロデュース:伊與田英徳、関川友理、佐久間晃嗣
演出:加藤亜季子、金井紘
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/caster_tbs/
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