吉柳咲良&髙石あかりは日本エンタメの中心に 若手実力派が『御上先生』で証明した存在感

 後半戦へと突入し、ますます勢いづくドラマ『御上先生』(TBS系)。主人公である教師・御上孝(松坂桃李)と生徒たちの関係性は回を重ねるごとに深まり、私たち視聴者をも議論の渦に巻き込んでいく。考えること、想像することの大切さを、本作をとおして改めて実感しているところだ。

 そんな本作の第7話でスポットライトが当たったのが、吉柳咲良と髙石あかり。隣徳学院3年2組の生徒たちを演じる若き才能たちの中でも、とくにいま注目すべき存在である。

 この日曜劇場『御上先生』は、これまでになかったタイプの学園ドラマだ。主演の松坂桃李が演じる御上は、文部科学省のエリート官僚にして教師である。その彼が官僚派遣制度によって、名門校である隣徳学院の3年2組の担任を務めることに。御上は学生時代に経験したある事件をきっかけとして、日本の“教育”というものを本気で変えようとしている。自ら思考し行動する“真のエリート”へと、生徒たちを導こうとしている。そうすることで、教育現場を侵す腐敗した権力に闘いを挑んでいるのである。

 そんな本作で吉柳が演じているのは、責任感が強く、他者にも自分にも厳しい椎葉春乃。深刻な家庭の事情と体調不良により、ここしばらくはふさぎ込みがちになっていた。いっぽう、髙石が演じているのは真面目で控えめな性格の千木良遥である。これまでは口を開くことすらあまりなかったが、大切な友人である椎葉の抱える問題が取り沙汰されたことにより、彼女も物語の中心に立つことになったのだ。

 幼少期に事故で両親を亡くした椎葉が抱える問題は、とても身近で、切実なものだった。アルバイトを掛け持ちしながらヤングケアラーとしての役割を担っていた彼女だったが、困窮し、止むを得ず万引きに手を染めてしまったのだ。なぜ彼女が盗んだのは生理用品だったのか。その理由を打ち明ける独白シーンは、私たちの誰も知らない、彼女の“これまで”や“日々の生活”などがありありと浮かんでくるものとなっていた。吉柳の語りによる表現力の豊かさによって実現したシーンだろう。

 そして、そんな彼女の必死の訴えに対して、千木良を演じる髙石も感情的な表現で応えてみせた。問題提起しているテーマと俳優陣の演技が高次元で闘い、手を取り合った、力強い瞬間の連続だった。もちろん、主演の松坂をはじめとし、3年2組のクラスに存在するすべての者たちあってこそのものであることは言うまでもない。

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