鈴木伸之、令和の“サラリーマン金太郎”役で学んだこと 「時代は違っても言葉の力は普遍的」

 シリーズ累計発行部数3000万部を誇る本宮ひろ志の人気漫画『サラリーマン金太郎』が、新たに2部作として映画化された。『サラリーマン金太郎【暁】編』(1月10日公開)では新生・金太郎の誕生、『サラリーマン金太郎【魁】編』(2月7日公開)では彼が巨大利権に挑む姿を描き、現代社会の課題にも鋭く切り込む内容となっている。

 これまで高橋克典や永井大が演じてきた破天荒な元ヤンサラリーマン・矢島金太郎を、今回は鈴木伸之が新たに熱演。「金太郎マインドが宿っていました」と撮影期間を振り返る鈴木に、原作へのリスペクトを持って挑んだ役作りや撮影秘話、そして仕事で疲れた時におすすめのリフレッシュ方法を教えてもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

意識していたのは「原作の破天荒なキャラクター性」

――本作の主人公に抜擢されたときの率直な感想と、周りからの反響を教えてください。

鈴木伸之(以下、鈴木):誰もが知る名作を、自分が演じることになるなんて夢にも思いませんでした。平成に生まれた作品を令和にやるということで、「今やるんだ!」と驚かれる方も多かったです。正直、自分でいいのかなと不安な気持ちもありましたが、それでも精一杯金太郎と向き合い、無事に撮影を終えることができて、本当にホッとしています。

――実際に演じられてみて、2部作だからこそ表現できた金太郎の魅力は何だと感じていますか?

鈴木:原作に忠実に物語は展開されますが、後編の【魁】編ではサラリーマンとしてさらに凛々しく、力強い主人公へと成長する金太郎の姿が見られます。2部作だからこそ可能なスケール感や深みを持たせたストーリー展開が、本作の大きな魅力です。金太郎の物怖じしない姿勢が観る方に勇気を与え、愛されるキャラクターとして皆さんの心に残れば嬉しいです。

――原作はどの程度参考にされましたか?

鈴木:原作の破天荒なキャラクター性は強く意識していました。今の時代には少し大胆すぎるかもしれない個性こそが金太郎の魅力だと思い、「こういう戦い方もカッコいい」と共感してもらえる部分を大切にしました。

――金太郎の信念や強い精神は、鈴木さん自身と共通する部分もあるのでしょうか?

鈴木:僕だったら、いちいち突き詰めずにやり過ごしてしまうことも多々あると思います(笑)。ただ、金太郎のような素直さは、自分にも少しは近い部分があるのかも……。

――演じていく中で発見した、学びや気づきがあれば教えてください。

鈴木:金太郎は対話を大切にするキャラクターなので、今の時代、電話やメッセージ一本で済ませがちな中で、彼のように徹底してコミュニケーションを大切にする姿勢は本当に魅力的だなと感じました。この作品を通じて、対面で言葉を交わすことの重要性を改めて考えさせられましたし、それが金太郎らしさなのだなと実感しました。

――役に入り込んでいる間、金太郎の精神が宿るような瞬間はありましたか?

鈴木:金太郎マインドが宿っていましたね(笑)。僕はサウナが好きなのですが、普段はロウリュで水をホットストーンに2回かけるところを、その時はなぜか3回かけていました。アウトプットの量も普段より多かったですし、金太郎の何でも言葉にして伝える姿勢が自分にも影響を与えていたのかもしれません。

「実は金槌なんです(笑)」

――海のシーンが特に印象的でしたが、今だから話せる撮影秘話はありますか?

鈴木:海に飛び込むシーンから撮影が始まったのですが、実は海に飛び込むこと自体が初めての体験だったんです。海の広さや潮の濃さを身体で感じることができました。あと、船の先端から飛び込むシーンがあったのですが、一度NGを出してしまって。撮り終えて確認したら、自分の飛び込みの姿勢が変な「くの字」になっていて(笑)。これでは漁師っぽくないなと思い、再撮影をお願いしました。もう一度船で移動して撮り直しましたが、全部乾かしてからやり直す作業が大変でした。

――スポーツ万能な印象ですが、泳ぎは得意なんですか?

鈴木:実は金槌なんです(笑)。子どもの頃、水泳教室に通っていたのですが、腕の浮き輪もまだ取れていない18級でやめてしまい、そのせいで泳ぎは苦手なままで……。今回、漁師の役ということで、深い海での撮影だったので、かなり緊張しました。

――少し意外でした(笑)。アクションシーンに関して、共演者の方との思い出はありますか?

鈴木: アクションシーンが多かったので、いつも顔に絆創膏を貼っていた記憶があります。怪我をしないようにお互い慎重に確認しながら進めました。逆に撮影の合間では、「今日は何食べましたか?」みたいな、ほんわかした会話が多かったです。

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