『地獄先生ぬ~べ~』“オカルトアニメ”の需要は変わらず 『らんま1/2』に続くヒットなるか
真倉翔原作、岡野剛作画で『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載され、一時代を築いた漫画『地獄先生ぬ~べ~』の再アニメ化が盛り上がってきた。7月にアニメ化が発表になったときも、平成のキッズたちを怖がらせながら楽しませた作品を、令和の時代にまた楽しめると評判になった。今回、「ぬ~べ〜」こと鵺野鳴介の声を前のアニメシリーズと同じ置鮎龍太郎が担当すると発表になって、初の主役を務めたときからの積み重ねが乗った令和のぬ~べ~を、どう演じてくれるのかと今から期待が高まっている。
『DRAGON BALL』に『SLAM DUNK』に『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に『ジョジョの奇妙な冒険』に『幽☆遊☆白書』に『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』。漫画の歴史に名が刻まれている超人気作が連載されていた1993年の『週刊少年ジャンプ』に『地獄先生ぬ~べ~』は登場した。周りが周りだけに最初の1年くらいは人気でも中位くらいを推移していたが、まもなく上位に顔を出すようになった。
童守小学校の5年3組を担任している教師の鵺野鳴介には霊能力があって、鬼の力を封じ込めた左手を使って悪霊や妖怪を退治することができる。責任感が強く熱いところがあるが、ドジでスケベな面もあって児童たちからからかわれることもあるが、奇怪な事件が起こって児童が巻き込まれるような事態が起こると、黒い手袋を外して「鬼の手」を取り出し、悪霊や妖怪を斬り裂いて対峙するカッコよさを見せてくれる漫画だった。
『DRAGON BALL』や『SLAM DUNK』のような熱いバトルの連続といった感じではなく、『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』のような長い冒険の旅を楽しませてくれる作品とも違っていた。妖怪退治という面では立ち上がり当初の『幽☆遊☆白書』と重なるところもあったが、こちらも異能バトルがメインとなっていった。教師と小学生による退魔ストーリーは、当時の『週刊少年ジャンプ』にあってやや異色だったかもしれない。
そんな『ぬ~べ~』が、だんだんと『週刊少年ジャンプ』の中でしっかりとした人気を獲得していく。小学校を主な舞台に、小学生たちが巻き込まれる不思議な事件を1話完結で描いていくストーリーが、時に身の回りへの恐怖を誘ったり、時に弱い存在への慈しみを呼んだりするような感情に働きかけてくれた。そこに小学生からそれこそ大人の読者まで引きつけられた。
悪霊や妖怪であっても、悪と断じて滅ぼすのではなく事情があれば話を聞いてあげるぬ~べ~の優しさも心に染みた。吾峠呼世晴の『鬼滅の刃』で、竈門炭治郎がたとえ凶暴な鬼であっても相手の気持ちを感じ取ろうとする優しさを見せる部分には、ぬ~べ~から受け継がれたものがあるかもしれない。こうした作品の特徴が読者にも受け入れられるようになり、アンケートの順位も上がっていった。『週刊少年ジャンプ』が史上最高となる653万部を記録した時も上位に名を連ねた。
盛り上がる人気をバックに、1996年からテレビアニメ化された『地獄先生ぬ~べ~』が、作品の人気をさらに高めた。活発な立野広や元気でまっすぐな稲葉郷子、気ままで明るい細川美樹といった5年3組の児童たちに、雪女のゆきめのような美少女キャラクターも加わって、ワチャワチャとした展開が毎週のように繰り出されるのだから楽しめないわけがない。
そんな展開の中で、何かあったら本領を発揮するぬ~べ~が、置鮎龍太郎のイケボを発しながら大活躍するのだからたまらない。FEEL SO BADによる主題歌「バリバリ最強No.1」の強烈な歌詞やサウンドともども、当時の視聴者に深く刻まれた作品となっている。