『おむすび』が描く“支えられる側”の苦しみ 愛子が提示した“善意の押し付け”への処方箋

 出発点が自分か相手なのかで、その後の進み方は大きく変わる。避難所へ届く大量の支援物資が頭に浮かんだ。不用品を処分したと思われる物品。よかれと思って送られたものが空きスペースを占拠したり、さばくのに人手不足になるなど、かえって負担になることもある。それが広く報じられたのが阪神・淡路大震災だった。

 善意の押し付けは相手を縛る“呪い”に変わる。あやうく結は翔也をダメにしてしまうところだった。目の前の人を救わなければという使命感は、相手が見えていないと暴力にすら転じかねない。そうならないための処方箋も提示されていた。愛子の「話せばきっと伝わる」は双方向の対話を意味し、相手の話を「聞く」ことも含まれる。失敗エピソードを通じて、さりげなく現代の呪いを解毒する『おむすび』である。

■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、仲里依紗、北村有起哉、麻生久美子、宮崎美子、松平健、佐野勇斗、菅生新樹、松本怜生、中村守里、みりちゃむ、谷藤海咲、岡本夏美、田村芽実ほか
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK

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