なにわ男子 長尾謙杜のアクションを堤真一も絶賛 大泉洋主演映画『室町無頼』撮影に密着
大泉洋主演映画『室町無頼』の撮影現場見学会が、2023年11月に京都・太秦にある東映京都撮影所で行われた。
垣根涼介の同名小説を『SR サイタマノラッパー』シリーズ、『あんのこと』の入江悠が監督を務め映画化した本作。実在した「無頼」(無法な行いをする者、またはその行為)が腐りきった政治と世の中を叩き直そうと、命がけの戦いに挑み、自らの力で時代を切り拓く姿を描いたアクションエンターテインメントだ。
東映京都撮影所に組まれたセットで行われた撮影には、才蔵役の長尾謙杜(なにわ男子)と骨皮道賢役の堤真一らが参加。長尾によるワンカットアクションシーンのほか、後日には蓮田兵衛役で主演を務める大泉洋と道賢役の堤が激しく対峙する殺陣のシーンなどが撮影された。
「日本映画にはアクション映画がいっぱいあるんですけど、俳優がどこまでできるのか、可能なかぎり挑戦してもらおうと思っていて。いろんな映像のテクニックで見せることはできるんですけど、このシーンに関しては本当に観たことのないものにしたいと思っている」と入江監督が明かすほど、俳優にとっても作品にとっても重要なシーンだ。
クレーン3台で人を吊ったり、数十人のエキストラが参加するなど、大がかりな撮影となったこの2日間。長尾はワンカットのアクションシーンに挑むにあたり、入念にテストやリハーサルを行いながら本番に臨む。カットがかかるとモニターに移動し、撮影した映像を入江悠監督らスタッフと一緒に確認しながら、時折笑顔を見せていた。
もともとアクションに挑戦してみたかったという長尾。撮影前のアクション練習では百本の素振りを何セットもこなすなどし、泣きそうになるぐらいの筋肉痛を経験したという。長尾は撮影本番について、「自分でもわかるくらい最初は不格好で、どうやって棒を振ったらいいのかも全然わからなかったんですが、アクション監督に教えていただきながら、少しずつそれが自分のものになっていった感覚があります。しばらく練習を重ねてから映像を観た時には、『ちゃんと振れている』と思える部分がでてきたりもしたので、少しずつ成長していけていると感じられて嬉しかったです」と語るなど、手応えを感じた様子。
ワンカットのアクションについては「大変でした(笑)」と笑みをこぼしつつ、「だいぶ前から練習して、いろいろと試行錯誤しました。本番は相対する堤(真一)さんたちもワンカットの中に入っていますし、本当にドキドキしました」と緊張したことを明かす。「普段はちょっと大変でも『いやいや、全然大丈夫でしたよ!』と言いますが、あれは心から大変でしたね。これまでの作品の中で一番大変だったかもしれないです」と、ワイヤーを使ったり、高所から飛んだりするアクションシーンの苦労を語った。
才蔵役の俳優には「身体能力の高さが必須だった」と入江監督は語る。「“育っていく”という点で言うと、伸びしろがないといけなかった。完成された大人っぽい人だとちょっと違ったんですよね。そんな中、キャスティングで長尾くんの名前が挙がったときに、『この人いけるな』と思った」とキャスティング理由を打ち明けた。
そんな長尾のアクションを、才蔵と相対する道賢役の堤も大絶賛。「棒とか、長もののアクションというのは本当に難しい。彼はとにかく難しいことを何回も何回もやっていたので、もう永遠に終わらないんじゃないかなと思うぐらい、ちょっと大変な技をやっていました。しかも鮮やかにやらなきゃいけない。できたからOKではなくて、鮮やかにできて初めてOKになる。足で蹴り上げて棒を持つとか、それだけをやれと言ったらできるかもしれないけれど、流れの中でやるのは簡単に見えてとても難しいから。でも長尾くんも若くて、根性があるから食らいついていましたね」と撮影を振り返った。
堤自身もこれだけ大規模な撮影は初めてだったそう。「アクロバティックな形のものはあっても、本作は百姓たちが立ち上がる物語ですからね。大人数が立ち向かっていくというのをアクションで、しかもこれだけの規模で描くのはあまりないかもしれません」と、本作の画期性についても言及。