チェ・ミンシクはイメージを更新し続ける 親しみやすい人物から“悪魔”まで恐るべき振り幅

 チェ・ミンシクは、もともとは高校時代に劇団に入り、1980年代後半からドラマに出演、1990年代後半からは長らくドラマには出演せず、映画俳優として活動してきた人だ。

 近年はNetflixやディズニープラスなど、配信系のプラットフォームのオリジナルコンテンツが多数作られるようになり、その規模も大きくなって多くの映画監督や映画俳優もドラマに出演するようになった。

カジノ|予告編|Disney+ (ディズニープラス)

 チェ・ミンシクもこれにもれず、2022年にはディズニープラスの『カジノ』で、実に25年ぶりにドラマに出演。このドラマのチェ・ミンシクが演じた主人公のムシクも、カジノの世界でのし上がる役とはいえ、ひょうひょうとしていて憎めない、けれどどこか得体の知れない怖さもあるところが『悪いやつら』に重なるように思う。もっとも怖さの要素は『悪いやつら』にはあまりないが、ムシクがカジノ王にまで上り詰めるのは「怖さ」があったからだろう。

 最初のうちは、児童養護施設、刑務所、特殊部隊での生活を経て英語塾の講師までやっていた器用な主人公のムシクがフィリピンでカジノを持つまでになるまでの‟成り上がり”を描いたものだったが、やがて殺人事件が勃発。『私の解放日誌』で人々を魅了したソン・ソックが、捜査官としてムシクを追い詰める。この作品は、シーズン2まで放送されている。

 いまや、韓国を代表する演技派俳優(という言葉ももはやいらないほどであるが)となったチェ・ミンシク。ソン・ソックにしても、『破墓/パミョ』のキム・ゴウンやイ・ドヒョンにしても、中堅俳優や若手俳優と共演し、彼らの演技を受け止め、また輝きを引き出すような役割も担っていると感じる。

 当のチェ・ミンシクが、親しみやすい人柄であることは冒頭でも書いたが、近年は怖さの中に人間性の見える役も多い。かつては、『春が来れば』という作品や、浅田次郎の短編小説『ラブ・レター』を映画化した『パイラン』で、あたたかみのある役も演じている。現在、62歳のチェ・ミンシクだが、まだまだ新たなイメージを更新する可能性もあるだろうし、そんな顔も見てみたい。

■公開情報
『破墓/パミョ』
新宿ピカデリーほかにて公開中
出演:チェ・ミンシク、キム・ゴウン、ユ・ヘジン、イ・ドヒョン
監督・脚本:チャン・ジェヒョン
提供:KADOKAWA Kプラス、MOVIE WALKER PRESS KOREA
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
PG12/英題:Exhuma
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公式サイト:https://pamyo-movie.jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/pamyomovie

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