『民王R』芝居の引き出しが試される遠藤憲一 予想を遥かに超えるあのの演技力の高さ

 特徴的なのは遠藤の舌足らずな喋り方……というか、ほとんどパブリックイメージの「あのちゃん」の喋り方と言ってもいい。冴島は普段のあのとは真逆とも言えるキャラクターなのだが、入れ替わるとまるであのちゃんになるというのは、より分かりやすくデフォルメするためだろう。冴島家も娘の喋り方を真似た時に、あのちゃんの口調だったのは決定的だ。

 前作でのもう一人の主演が菅田だったように、今作では入れ替わりの相手がフィーチャーされる主役回とも言える。泰山が乗り移った冴島は、ガニ股で眉間に皺を寄せ、ドスのきいた声で喋る。筆者は『あののオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)や『あのちゃんねる』(テレビ朝日系)などを毎週視聴しており、特にラジオのコーナー「あのアニ」を聴いていれば、あのが憑依型なのは分かっていたが、その予想を遥かに超える演技力の高さに驚きを隠せなかった。

 特筆すべきは泰山との入れ替わりが解けた後も、冴島が自身の演説、政治への思いを熱く語るシーン。anoとして音楽のステージで見せる感情的なスイッチを芝居に持ってきた印象のある胸を打つ場面であり、SNSでもその演技の上手さが大きな話題になっている。あのにとって、『民王R』は俳優としてのステップアップとなる作品になるのかもしれない。

 X(旧Twitter)で世界トレンド1位を獲得し、民からの大きな支持を獲得しつつある『民王R』。第2話での入れ替わりとなるのは、闇バイトの若者・木下直樹(曽田陵介)。入れ替わりの対象は国民全員。ここから遠藤の10通りの演じ分け、芝居の引き出しが試されることとなる。

■放送情報
『民王R』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:遠藤憲一、大橋和也(なにわ男子)、あの、山時聡真、金田明夫、山内圭哉
ナレーション:菅田将暉
Inspired by 池井戸潤『民王』(文春文庫・角川文庫)
脚本:加藤陽一、後藤賢人ほか
監督:草野翔吾、山本大輔、佐藤恵梨子
音楽:井筒昭雄
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、田中真由子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日

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