『オクラ』反町隆史×杉野遥亮が過去の事件を追う理由 『3年A組』を思わせる武藤将吾の筆致
小さすぎる車で乗り付け、さっそうと歩む刑事の立ち姿。ちょうどよいタイミングで流れるクサい劇伴。単なる資料整理の部署にしては大がかりな捜査車両や盗聴機器など、ご都合主義で彩られた刑事ドラマのフックは第2話でもてんこ盛りだった。刑事ドラマお得意の組織VS個人、正義と正義の頂上決戦というテーマは、千寿と同期の警視正・加勢(中村俊介)の関係に反映されていた。
しかしながら、それらはほんの序章にすぎない。名作のフックをちりばめた王道ドラマと思わせて、『オクラ』が従来の刑事ドラマの枠を壊す作品であることは前回指摘したとおりである。第2話では、その推進力がバディの化学反応から生じることが明確になった。利己が千寿を裏に呼び出す流れは早くも定着したかに見える。管轄外の場所で、今度も利己は再捜査が千寿の自作自演であることを突き付ける。タレコミにとどまらず、加害者の通話音声までもが千寿の手によるものだった。
利己には不正を憎む理由があり、千寿には犯罪を憎む理由がある。利己の脳裏をよぎった光景、血を流して倒れている女性の姿は、千寿だけでなく、利己もまた必然性があってオクラに行き着いたことを暗示している。野放しになった犯罪者は法の追及の及ばない場所にいて、冤罪事件の陰でほくそ笑んでいる。彼らを検挙できるのは通常の指揮系統にない千寿や利己のような刑事だけ。銃口を突き付けたバディの対峙はどこまでエスカレートするのか。おそらく千寿には協力者がいて、利己の過去もこれから明らかになるだろう。早くも次週が待ち遠しい。
■放送情報
『オクラ~迷宮入り事件捜査~』
フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:反町隆史、杉野遥亮、白石麻衣、前田旺志郎、有澤樟太郎、三浦獠太、青木さやか、橋本じゅん、宇梶剛士、平山祐介、中村俊介、観月ありさ
脚本:武藤将吾
音楽:林ゆうき
主題歌:Kroi「Jewel」(IRORI Records/PONYCANYON INC.)
演出:柳沢凌介ほか
プロデュース:足立遼太朗
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
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