名優たちの共通点? 真田広之、反町隆史、阿部寛ら“教師役”で一世を風靡した俳優たち
第76回プライムタイム・エミー賞授賞式にて、真田広之がプロデュースと主演を務めた『SHOGUN 将軍』が主要部門を含む最多25部門にノミネートされ、史上最多の18部門を受賞した。これは英語圏以外の作品としては『イカゲーム』(2021年)以来2作目となる快挙。名優として知られる俳優たちの共通点は何なのか。思い浮かんだのは、どの俳優も“教師役”を一度は経験しているということだ。
真田広之『高校教師』(TBS系)
映画『浪曲子守唄』(1966年)で子役として俳優デビューして以来、日本映画の歴史に残る活躍をしてきた真田。真田といえば、『忍者武芸帖 百地三太夫』(1980年)や『吼えろ鉄拳』(1981年)、初の海外進出作となった『龍の忍者』(1982年)など、時代劇やアクション映画で大きな爪痕を残してきた。だが、阿佐田哲也の伝説的麻雀小説を真田主演で実写映画化した『麻雀放浪記』(1984年)では、麻雀を通して成長していく坊や哲を繊細な演技で新境地を切り開いた、という印象も強い。
その中でも真田を代表する作品として知られているのは『ラスト サムライ』での氏尾役だろう。トム・クルーズがエドワード・ズウィック監督とタッグを組み、真田をはじめ、渡辺謙や小雪、小山田真らが世界進出を果たした作品でもある。本作で見せた真田の日本の文化へのこだわりは、『SHOGUN 将軍』へと結実していくことになる。
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そんな真田は『高校教師』で女子高へ赴任する大学院助手の羽村隆夫を演じている。令和では考えられないような、教師と生徒の恋愛、強姦、近親相姦、パワハラ、自殺などセンシティブなテーマに切り込んだ本作。日本ドラマにおける教師像といえば、後に紹介する『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)や『ごくせん』(日本テレビ系)における熱血教師役のイメージがあるが、本作で演じた羽村は女子高生・二宮繭(桜井幸子)の積極的なアプローチにたじろいでしまうようなうぶな性格で、自分の都合が悪くなると奇声を発してごまかすような教師だった。二宮との出会いによって、様々な表情を見せていく真田の変化も見どころだ。
反町隆史『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)
『バージンロード』(1997年/フジテレビ系)と「ビーチボーイズ」(1997年/フジテレビ系)など、立て続けにヒット作に出演し、時代を代表する俳優となった反町隆史。平成を代表する学園ドラマとして真っ先に挙げられるのは『GTO』だろう。
反町演じる高校教師・鬼塚英吉が、いじめや登校拒否、暴力など、生徒が抱える問題を型破りな方法で解決していく、そのセンセーショナルな振る舞いが、当時のバブルが弾けて、時代への閉塞感を抱いていた時代とも相まって共感を呼んだ。本作に出演した窪塚洋介、小栗旬、池内博之といった生徒役がその後、ブレイクを果たすなど、学園ドラマがブレイクの登竜門として知られるようになったのもこの頃だ。生徒の自宅の壁をハンマーで破壊するという本作を代表するシーンに現れているように、反町が演じる鬼塚は生徒のためであれば手段は問わない、いわば“危うさ”をまとっていた。その危うさは現代でこそ異質なものとして映るが、当時は何かを打破してくれる救世主のような存在として映った。反町の教師像に当時救われた人も多かったのではないだろうか。
『GTOリバイバル』“時代遅れ”だからこそ現代性を獲得 国内ドラマの可能性を広げた一作に
反町隆史主演のカンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ『GTOリバイバル』が4月1日にカンテレ・フジテレビ系で放送され、反響を…
2024年にはカンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマとして『GTOリバイバル』が放送。『GTO』が放送された1998年とは状況が変わった現在において、鬼塚がどのように演じるのかを楽しみにしていたが、SNSでの誹謗中傷など令和の問題にアップデートされつつも、しっかりと『GTO』のエッセンスを組み込んだ令和版として生まれ変わっていた。反町にはもう一度、教師役で時代の問題に切り込んでほしい。