『ぼくのお日さま』が描く“3人組”の孤独 池松壮亮×越山敬達×中西希亜良の“目線”に注目

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、毎年1月にスケートリンクで“滑り初め”をする花沢が『ぼくのお日さま』をプッシュします。

『ぼくのお日さま』

 昔から3人組でつるむのが好きでした。3人家族だったからか、単に2人より会話の幅が広がるからか、2人より、4人より、3人でいるときが落ち着きます。高校時代、部活終わりに1つ上の先輩(女)と2つ上の先輩(男)と3人で電車に乗る時間が好きで、年齢的に失礼な話ですが、勝手に2人を両親のように慕っていました。

 先日公開された山田尚子監督のアニメーション映画『きみの色』のレビューで、批評家の渡邉大輔さんが「“3”の物語」という表現をされていました。詳しくは該当のコラムを読んでいただきたいのですが、これまで『映画 聲の形』『リズと青い鳥』など、主人公ともう1人の関係性に焦点を当ててきた「“2”の作家」である山田監督が、3人組のバンドの物語を描いた意義について考察する内容でした。

『きみの色』を「3」の物語として読み解く 山田尚子が令和に描く若者の“新しい青春”

山田尚子作品における、現代青春アニメとの共通項  山田尚子監督の6年ぶりとなる劇場用長編アニメーション映画『きみの色』は、海に…

 今回紹介する『ぼくのお日さま』も、『きみの色』と同じく“3”の物語です。洋画でいえば『チャレンジャーズ』や『ホールドオーバーズ』もあった今年は、“3”の映画が豊作な年のようです。

 主要人物の1人目は、池松壮亮演じるアイススケートのコーチ・荒川。かつてはフィギュアスケート選手として東京で活躍していましたが、今は田舎街のスケートリンクで子ども相手に教えています。

 2人目は、そんな荒川の生徒で、中学1年生の女の子・さくら(中西希亜良)。小学生の頃からフィギュアスケートを習っているため実力があり、コーチである荒川のことを慕っています。

 そして3人目が、運動の苦手な小学6年生のタツヤ(越山敬達)。タツヤはたまたま見かけたさくらのパフォーマンスに見惚れ、以来、誰もいないスケートリンクでフィギュアスケートの真似事をはじめます。

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