『降り積もれ孤独な死よ』美来役でデビュー 18歳の新鋭・水野響心、俳優としての決意

高校時代は演劇部ももともとは裏方志望

――高校時代は演劇部で部長もされていたそうですね。ただ最初は俳優志望ではなかったとか。

水野:もともとドラマはすごく好きだったんですけど、人前に立つのは苦手だったので、演劇部にも照明や音響といった裏方をやりたくて入りました。ただ裏方がメインの場合も、演技の練習は全員一緒にやることになっていたんです。それでお芝居もするようになったのですが、実際にやってみると、舞台をやり終えたときに達成感があって、それも真摯に向き合ったからこそ感じられるんだと気づきました。人の前に立つのは怖いと思っていたけれど、演劇部に入ったことで、それよりも演技をやりたいという気持ちのほうが強くなっていきました。

――演劇部での経験が大きな転換になったようですが、これまでにご自身がもらった「言葉」で影響を受けたり、大切にしているものはありますか?

水野:高校3年生のときの担任の先生が、卒業のときに35人の生徒ひとりひとりに合った偉人の名言をくださったんです」

――ひとりひとり、それぞれにですか?

水野:そうなんです。そこで私は、「成功は、自分ひとりの努力によるものだと主張することは、浅はかで傲慢なことだ。どんな優れた業績も、多くの人々の手と心と頭に助けてもらって、初めて可能になるのだから」というウォルト・ディズニーさんの言葉をもらいました。

先生には、上京して演技をやっていきたいという相談もしていました。もともと私は演劇部を通して、「一人の力でできることはない」と思っていたのですが、ずっと見ていてくれた先生もそれを分かっていて、だからこそ、これから自分のやりたいお仕事に繋がったときに、「忘れないでいてほしい」と声をかけてくださったのだと思います。ありがたい、いい言葉だなと、心の中に留めています。

――ステキな先生ですね。

水野:はい。進路を決めていくときには、もちろん不安もありました。でも担任の先生も顧問の先生も、一度も否定せずに「楽しみだね」「頑張って」と、ずっと応援してくれていました。事務所が決まっていたこともありますが、俳優という少し特殊な進路も受け入れてもらってありがたかったです。

思い悩む時期もあったがやっぱり演技が好き

――高校卒業からデビューまで順調でしたか? それとも悩む時期もありましたか?

水野:事務所は高校2年生のときに決まったのですが、そこから実際の演技のお仕事になかなかつながりませんでした。高校の間は部活やアルバイトもあって、忙しく過ごしてはいましたが、ふとした瞬間に「このままでいいのかな」「大丈夫なのかな」と思うことはあって。東京に住んでいる子たちは、私がいまこうしている時間にも演技に時間を割いているのかもしれない。「ここにいていいのかな」と。3年生になると、周りは大学進学や就職を決めていくし、置いて行かれている気がして。挫折とまではいいませんが、そうした気持ちになったことはあります。

――上京して踏み出してみて、また気持ちを新たにできたのでしょうか?

水野:最終的に、やっぱり演技が好きだという気持ちに落ち着くんです。2年間くらい、ずっと悩んでいました。でも上京して、こうして『降り積もれ孤独な死よ』にも出演させていただいて、やっぱりこの道に決めてよかったと思えるし、地元で悩んでいた時期も、今の私を作り上げていく大切な時間だったと感じています。私は、「どんなことも全て経験」という言葉が好きなんですけど、悩んでいた2年間も、ひとつの経験だったなと思います。

――どなたか憧れている俳優さんがいたら教えてください。

水野:杉咲花さんがとても好きです。私は、作家の湊かなえさんが大好きで、『夜行観覧車』も読んでいました。杉咲さん出演のドラマ版を中学生のときに再放送で観て、すごい衝撃を受けたんです。杉咲さんも、撮影当時、中学生くらいだったと思うのですが、自分と同じくらいの年齢で、こんなに影響力のある演技ができるんだと。そのときはただただ「すごい」と思っていましたが、憧れというか、目標、ああいう演技をしてみたいなと思えるきっかけの存在になりました。

――最後に、これからの水野さんに期待している人たちにメッセージをお願いします。

水野:これからもずっと演技に携わっていきたいと思っています。経験値が浅い分、自分の理想と出せることのギャップも感じていますが、『降り積もれ孤独な死よ』でもたくさんのことを吸収させていただきました。挑戦し、経験し続けることを止めずに、演技力を高めて、水野響心だからこそ作れる雰囲気を、少しずつ築いていけたらと思っています。

■放送情報
『降り積もれ孤独な死よ』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:成田凌、吉川愛、萩原利久、佐藤大樹、仲万美、松本怜生、杢代和人、カカロニ栗谷、山下美月、黒木メイサ、野間口徹、小日向文世
原作:『降り積もれ孤独な死よ』原作・井龍一/漫画・伊藤翔太(講談社『マガジンポケット』連載中)
脚本:橋本夏
演出:内藤瑛亮、二宮崇、高杉考宏
チーフプロデューサー:岡本浩一(読売テレビ)
プロデューサー 中山喬詞(読売テレビ)、清家優輝(ファインエンターテイメント)
音楽:Jun Futamata
主題歌:あいみょん「ざらめ」
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:読売テレビ
©井龍一・伊藤翔太/講談社 ©ytv
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