怒るチョン・ヘインがカッコいい 『となりのMr.パーフェクト』サブタイトルの変化にも注目

 チョン・ヘインが怒っているさまはなぜあんなにもカッコいいのだろうかーー。

 Netflixで配信中の『となりのMr.パーフェクト』が人気沸騰中だ。配信後の日本ランキングでは1位が続き、配信2週目の世界ランキングでは非英語シリーズで2位と、初登場5位から一気に順位を上げている。本稿では第3話、第4話を中心にご紹介したい。

 本作は、人気スターのチョン・ヘインとチョン・ソミンが、“幼なじみのふたり”として、恋に落ちていくさまを描くロマンティックコメディだ。恋愛ものでは、王道のストーリーだが、その幼なじみを演じるのが、チョン・ヘインとチョン・ソミンなのだから人気沸騰となるのも大方の予想通りではあるものの、ロマンティックコメディに初挑戦のチョン・ヘインが視聴者の胸を爆キュンさせている。

 チョン・ヘイン演じるスンヒョは、韓国大学を出たエリートで、韓国で一番人気の建築家として注目を集めている。スンヒョの隣に住む、チョン・ソミン演じる幼なじみのソンニュもまた、同じく韓国大学を出て、アメリカに留学し、グローバル企業のグレイプに就職したスーパーエリートだ。ソンニュは、グレイプで人間関係に躓き、仕事でもオーバーヒートしてグレイプを辞めてしまう。さらに婚約者の浮気現場を目撃し、婚約破棄をし傷心のまま帰国する。ソンニュの帰国によって、スンヒョも実家に帰ることに。幼なじみのスンヒョとソンニュが34歳になった今、2人の微妙な関係に変化が訪れていく。

 学生時代、スンヒョは水泳選手としてオリンピック出場を決める大会で優勝する。両親が応援に来れない中、スンヒョを誰よりも会場で応援したのはソンニュだった。しかし、韓国代表チームの初練習の日に、スンヒョは交通事故に遭い、選手生命を断たれてしまう。怪我をしたショックでスンヒョは部屋に引きこもる。そんなスンヒョを、ソンニュは無理やり部屋に侵入し勇気づける。

 無職になったソンニュは、母校でグローバル企業グレイプに勤める先輩として、生徒たちに話をすることに。無職になったことを言い出せずに話をするソンニュだが、やり切れない思いをスンヒョにぶつける。ソンニュは、恵まれた環境にあるスンヒョに、「夢を追えるのは余裕がある人だけよ」「失敗しても立ち直る機会がある人だけなの」と怒りを露わにする。スンヒョは、ソンニュの気持ちを受け止めながら、「俺にも冬があったから」と自分もまた辛い経験から立ち直ったことを言葉にする。

 水泳選手として華々しい活躍を期待されていた中で、怪我をして挫折したことは、スンヒョを絶望に突き落としたはずだ。そんなスンヒョのバックストーリーは、ピョン・ウソク主演で大ヒットを巻き起こした『ソンジェ背負って走れ』を彷彿とさせる。そのほかにも、主人公のふたりが本作では隣同士、『ソンジェ背負って走れ』では向かい同士に住んでおり、重要なアイテムとしてどちらもタイムカプセルが登場したりと、ヒット作品に共通するモチーフやシチュエーション、小道具から、韓国ドラマの「今のブーム」が見て取れる。最近なら「前世もの」、一昔前なら、「記憶喪失」「不治の病」「愛し合う男女が実は兄妹だった(と思えば、実は血は繋がっていない!というドラマまで)」など、そのときどきの流行りも含めて楽しめるのが韓国ドラマなのだ。

 そして何より、スンヒョが第3話で視聴者のボルテージを上げたのが、プールでの場面の数々だ。「水も滴るいい男/女」という表現もある通り、水に濡れた俳優たちの魅力は凄まじい。映画『君に泳げ!』のソ・イングクにイ・ジョンソク、『恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~』のナム・ジュヒョク、そして『ソンジェ背負って走れ』のピョン・ウソクに、本作のチョン・ヘインと、錚々たる旬のスターたちが水泳選手を演じてきた。なぜ水に濡れるとあんなにもカッコよくなるのだろう。元々スターたちは美形であるが、水を足すとさらに色気というのか艶が増し、得も言われぬ魅力を放ち目が離せなくなるのだから人体の不思議としておきたい。スンヒョが、泳げないソンニュの体を支えながら、彼女とやり取りする場面は、チョン・ヘインの前髪が全て上がった凛々しさもあわせて、ロマコメのプール部門でのキュンキュンランキングに殿堂入りさせたい。

 第3話、第4話で急速にロマンスへと動き出し、この回だけで特筆したいことが山積みだ。プールでのシーンから、スンヒョ、ソンニュ、モウム(キム・ジウン)の3人組が学生の頃に埋めたタイムカプセルに入っていたスンヒョの手紙と、それを読んだ今のスンヒョの悶える姿、グレイプの韓国本社案件でソンニュのために怒るスンヒョと、見どころが怒涛のように押し寄せる。

 スンヒョの建築事務所アトリエ・インにグレイプの韓国本社の建設案件が飛び込んできて色めき立つ共同代表のミョンウ(チョン・ソクホ)。ミョンウは、ソンニュにグレイプとの通訳を依頼する。ソンニュは、グレイプの案件が実は他社に決まっていることを知り、手を抜くようにスンヒョに告げる。しかしスンヒョは手を抜かず、精一杯の力で設計をする。プレゼンテーションの日、韓国へやって来たグレイプの社員がソンニュを馬鹿にするのを見たスンヒョは、ソンニュを守るために殴りかかりそうになる。この時のチョン・ヘインの「怒った顔」がすごぶるいい!

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