泉里香、大胆奔放な和泉式部で『光る君へ』に登場 まひろが“紫式部”となる第一歩目も

 『光る君へ』(NHK総合)第30回「つながる言の葉」。夫の死から3年が経ち、まひろ(吉高由里子)は四条宮の女房達に和歌を教えながら自作の物語を披露していた。一方、宮中では『枕草子』が流行しており、一条天皇(塩野瑛久)は『枕草子』を読んでは亡き定子(高畑充希)を思っている。

 物語序盤で描かれた安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の鬼気迫る雨乞いの祈祷、物語後半の、持てる力の全てを使い果たしたかのような弱りきった姿が印象に残っているが、第30回で初登場となった歌人のあかね(泉里香)も強い印象を残す人物である。

 泉里香演じるあかねは、のちに和泉式部として知られる女性だ。まひろとは、四条宮の和歌を学ぶ会で知り合う。まひろ、そして『枕草子』の作者である清少納言ことききょう(ファーストサマーウイカ)も、宮中の女性の価値観からは少し異なる視点を持った人物として描かれているが、あかねはまひろやききょう以上に自由奔放な女性である。あかねの身なりや紅をさした顔には、えもいわれぬ色気が漂い、まひろやききょうに比べると派手な印象を受ける。

 そんなあかねは歌の解説をするまひろに向かって「先生は歌を詠む時、そんなに難しいことをお考えなんですかぁ」と言った。和歌の会に遅れてやってきたことや、そののびのびとした声色に、彼女のマイペースっぷりがうかがえる。色香を振りまきながらやってきたあかねが薄衣を纏うのを見て、藤原公任(町田啓太)の妻で、和歌の会を主催する敏子(柳生みゆ)は「そのようなお姿はいかがなものでしょうか」と苦言を呈した。しかし、あかねは悪びれる様子もなく「だって暑いんですもの。いっそのこと、何もかも脱いでしまいたいくらい」と話し、いたずらな笑顔を見せると「皆様もそうしません? 皆で脱げば恥ずかしくありませんわよ」と他の女房やまひろの着物に手をかける始末。あかねの大胆さには驚かされるが、この場にあかねが受け入れられているのは、おそらく誰もが彼女の奔放さに心惹かれているからに違いない。何より、あかねを演じている泉の表情を見ていると、感情豊かで、感じたものを感じたままに表現するあかねの素直さがひしひしと伝わってきて愛らしく思えてくる。

 熱愛中の敦道親王とケンカをしたあかねは、やけになってお酒を飲んでいたようで、人目もはばからずに涙する。誰の目もはばかることなく恋に身を焦がすあかねの言動はなかなか思い切ったものだが、まひろはあかねの話に耳を傾けながら「私はあかね様のように思いのまま生きてみたかった」と言っていた。このまひろの言葉や、まひろとの言葉を交わす中で一度も自分の気持ちを偽らないあかねの姿を見れば、あかねがただただ自分の思いに真っ直ぐに生きる人物なのだと分かる。

 今後も、宮中の女性たちの常識を覆すあかねの言動に驚かされることになるはずだが、まひろがあかねの自由さに心惹かれるように、この先の物語において魅力的な登場人物の一人となるに違いない。

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