『虎に翼』寅子に学ぶ“不条理”との向き合い方 優未「困ってる子を助けるのは普通」に感動
寅子は傍聴席に座っていた小野(堺小春)に、そして悩んだ末に崔香淑/汐見香子(ハ・ヨンス)にも協力を仰ぐ。小野は朝鮮の言葉で「火をつける」「燃やす」をどう書くかを教えてくれた。香子はその言葉の上に「中」を表す言葉がつくことで「気を揉ませる」「心を苦しめる」といった慣用句になると教えてくれた。小野も香子も、戦争後も続く差別や偏見の目に晒され、苦しい思いをしてきたはずだが、それでも寅子の申し出を引き受けるのは、先述した寅子の信念が彼女たちに伝わっているからに他ならない。第88話は、小野が寅子の自宅を訪れての幕引きとなったが、小野は寅子にだからこそ何かを打ち明けるのかもしれない。
第88話は深刻な顔でいることが多かった寅子だが、優未と過ごす場面では笑顔が多く、観ていてほっとする。寅子にとって、優未との時間はほっと一息つける時になっているようで、少しずつ2人の溝が埋まっているのだなと実感できる。
また優未の言葉は、寅子が香子に協力を仰ぐきっかけにもなっている。優未は山登りの日に起きた出来事について「困ってる子を助けるのは普通のことでしょ」と言った。この時、伊藤が見せた目尻の下がった微笑みには、優未が考える「普通」への感心や安堵のみならず、優未の言葉に励まされた寅子の心情も伝わってきた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、戸塚純貴、岩田剛典、田中真弓、羽瀬川なぎ、田口浩正、遠山俊也、望月歩、堺小春、田中美央、竹澤咲子、名村辰、松川尚瑠輝、岡部ひろき、高橋克実
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK