濱田岳が『新宿野戦病院』で担う役割 橋本愛との“映画マウント合戦”も見どころに

 “クドカン”こと宮藤官九郎による最新作『新宿野戦病院』(フジテレビ系)は、さまざまなバックグラウンドを背負う者たちの人生が交差する“救急医療エンターテインメント”だ。

 そんな作品において、濱田岳がとてもイイ味を出し、重要な役割を担っているように思う。彼が演じるのは、歌舞伎町にある交番の地域課勤務の巡査・岡本勇太である。

 本作のメインの舞台となっているのは、歌舞伎町に佇む「聖まごころ病院」だ。この古びた病院に特別な事情を抱えた患者たちが次々にやってくることによって、一風変わった人間模様が展開していく。それが『新宿野戦病院』である。

 濱田が演じる警察官の岡本は、いわゆる“街のおまわりさん”。恐れられる存在などではまったくなく、むしろ街ゆく人々から軽くイジられるような人物だ。頼りないといえば頼りないが、ちょっとした厳しさと、ちょっとした優しさ、そしてちょっとしたユーモアを持ち合わせたキャラクターである。

 クドカン作品の濱田といえば、『季節のない街』(ディズニープラス・テレビ東京系)の六ちゃん役が記憶に新しい。彼は「どですかでん」と叫びながら見えない電車を運転し、街中を走り回る人物だった。個性派揃いの登場人物たちの中でも一際目立つ存在であり、誰よりもピュアネス。濵田はその真っ直ぐなキャラクターを全身を大きく使って表現しつつ、状況に合わせて動く視線や変化する声質といった細部で“六ちゃんらしさ”を示していた。

 いっぽう『新宿野戦病院』の岡本は、六ちゃんとは対極にある存在だといえるかもしれない。六ちゃんは自分の中のルールのようなものを大切にしていたが、岡本にとってのルールは彼の外側にある。そう、彼は警察だから、何よりもまず街の秩序を守らなければならない。この秩序=ルールの中で、いかに自分らしく生きていくかーーこれは歌舞伎町を舞台とした本作のひとつのテーマでもあると思う。

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