Aぇ! group 佐野晶哉が平泉成から受け継ぐ役者魂 “普通”で素敵な自分を築くために

人生の大先輩、平泉成から佐野晶哉へのアドバイス

(左から)佐野晶哉、平泉成

――平泉さんの役者としての大きな魅力に「声」があると思います。モノマネをする人もいるくらい個性的で唯一無二のものですよね。

平泉:自分では嫌な声だなと思っているんですよ。酒とタバコと芝居でのどが潰れちゃった声ですから。

佐野:え、そうなんですか?

平泉:もともとはもっとかわいい声だったのに、こんな声になっちゃったんでね。たまたま真似する人がいて、そうかと(声に特徴があるのかと)思うけど。

佐野:渋くてあたたかくて、説得力があって羨ましいです。

平泉:まあ、何か特徴があった方がいいかもしれないから、そういう意味では良いのかもわかりませんね。

――佐野さんも美声ですが、役者をやっていく上で声の力はやはり大きいですか?

平泉:もちろん大事ですよ。リズム感も、音程も、佐野くんは非常にしっかりしています。

佐野:ありがとうございます。

平泉:セリフで1番大事なのはハートだと思うんですけど、ハートからにじみ出てくる声、声の響きというものは大切だと思うんですよ。芝居には人柄が出ます。これまでどう生きてきたか、それに尽きます。

――良い生き方をしてきた方と一緒にするお芝居は、また楽しさが違いますか?

平泉:もちろんですよ。人間が勉強するのは、頭を良くするためでももちろんあるけど、普通の品の良い人間になるためで。下品になるために勉強するわけじゃないでしょ。普通に品が良く育てば、お芝居にも自然と品が出てくるし、それは一緒に芝居をする相手にも作り手にも、観る側にも心地良いものですよ。

佐野:「普通の品の良さ」というのは、成さんが大事にされていることですか?

平泉:そうだね。取ってつけたようなもの、格好つけたものは、その場限りのもの。ずっと続いていくわけじゃない。そんなこと続けていたら、人間は疲れちゃうから、「普通」で素敵な自分を築かなきゃいけない。みんなそのために勉強したり、努力したりしていくわけでしょう。それはみんなお芝居に出るから。

佐野:ずっと勉強ですね。

――ところで、それぞれの人の人生の「想い残し」もこの映画のテーマとしてありますが、お2人にもそうした「想い残し」はありますか? また、それとどう向き合っていきますか?

佐野:僕の「想い残し」は、映画とちょっと外れちゃうんですが、明後日ライブが始まるんですね(取材は5月23日)。1週間前にリハーサルが終わっていて、その後にセットリストが変わったりとしっかりとしたリハをしないまま明日北海道に飛ぶので、ハラハラです。リハができていないという想い残しは、今、すっごくあります。

平泉:あ、そうそう、ここまで言ってなかったけど、デビューおめでとう。関西ジュニアというのがあって、その中にいくつものグループがあるんだよね。

佐野:そうです。そこからデビューということで、ジュニアから独立し、スタートが切れたような感じです。

平泉:それはすごいねぇ。

佐野:ありがとうございます(笑)。

平泉成

――佐野さんの芸能生活の大きな分岐点に立ち合われた大先輩として、想い残しがないためのアドバイスをぜひ。

平泉:そんなものないです。想い残しのない人生なんてないよ……なんて言い切っちゃいけないけど、 僕なんか想い残しばっかりだもん。あれもこれも。

佐野:そういうものですか?

平泉:想い残したけど、1つずつ、ちょっとでもクリアできていくと嬉しいなと。

佐野:平泉さんの域に至ってもそうなんですね。

平泉:長いこと生きてきているから、もうかさぶたがいっぱいできちゃっていてね。残念ながら、もう想い残しだらけ。でも、この作品はそういう想い残しが、人と人との交わりや関係の中で1つ2つ消えていくから、それは素晴らしいことですよね。

■公開情
『明日を綴る写真館』
全国公開中
出演:平泉成、佐野晶哉(Aぇ! group)、嘉島陸、咲貴、田中洸希、吉田玲、林田岬優、佐藤浩市、吉瀬美智子、高橋克典、田中健、美保純、赤井英和、黒木瞳、市毛良枝
原作:あるた梨沙『明日を綴る写真館』(BRIDGE COMICS / KADOKAWA 刊)
企画・監督・プロデュース:秋山純
脚本:中井由梨子
企画協力:PPM
製作:ジュン・秋山クリエイティブ
配給:アスミック・エース
©2024「明日を綴る写真館」製作委員会 ©あるた梨沙/KADOKAWA

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