『スティーラー ～七つの朝鮮通宝～』

　2作目にご紹介するのは、スカッとするアクションを交えたケイパーコメディ『スティーラー ～七つの朝鮮通宝～』。

　警察大学を首席で卒業したエリートのミヌ（イ・ジュウ）は、セクハラ署長を殴ったため、窓際部署であるソウル警察庁の文化財専門担当チームに左遷されてしまう。巷では文化財の盗難と不当取引が横行し、さらに殺人事件まで発生。そんな中、骨董品ばかりを強奪する怪盗スカンクが暗躍し、テインチーム長（チョ・ハンチョル）やミヌたちは、その正体を突き止めようと躍起となっていた。ミヌは文化財庁担当官デミョン（チュウォン）と連携しようとするが、実はデミョンが怪盗スカンクだったのだ。そしてスカンクは、盗んだ文化財を着服するのではなく、すべてテインに届けていたダークヒーロー。“腕前”が鮮やかで、実は正義漢であるスカンクを、ミヌたちは捜索チーム「カルマ」に引き入れる。私利私欲で文化財をほしいままにする悪党を成敗するため警察と泥棒がタッグを組む前代未聞な非合法チームが結成された。しかし文化財の盗難の裏には、彼らが想像もしなかった巨大な敵の存在があった……。

　本作の魅力は、主役のデミョン／スカンクを演じたチュウォンに拠るところが大きい。死者があの世へ行く前に立ち寄る写真館の優しいカメラマンを演じた『ザ・ミッドナイトスタジオ ～恋人は訳ありカメラマン～』や、サヴァン症候群の天才医師に扮した『グッド・ドクター』など、端正なマスクを生かしたキャラから複雑な内面を持つ人物まで多様に演じてきたチュウォン。

　そんな彼の俳優としてのターニングポイントとなったのは、Netflix映画『カーター』だった。記憶喪失の男が人質救出作戦に挑む姿を描いたバイオレンスアクション映画だ。手がけたチョン・ビョンギル監督は、デビュー長編『悪女／AKUJO』で韓国アクションムービーの新機軸を開拓した映画人だが、チュウォンはその監督から「肉体改造を行い、短髪にしたチュウォンはカーターのイメージそのもの」と惜しみない賛辞を送られている。『スティーラー ～七つの朝鮮通宝～』は『カーター』のハードさとはまた異なるものの、華麗なワイヤーアクションや、絶体絶命の空間から力業で脱出する強いフィジカルなど、端々にアクション俳優ならではの才能を感じさせる。

　ルックスは抜群ながら、サボり常習犯で口を開けば冗談ばかりのデミョンと、片や秘密の相棒・イ室長（チェ・ファジョン）が開発するパワースーツを着こなし悪党をなぎ倒すスカンク。デミョン／スカンクという魅力的なキャラクターを巧みに演じ分けたことで、そのキャラクターのギャップに酔いしれるファンも多い。法では裁けない極悪人を成敗するダークヒーロー、スカンクの破天荒な活躍は、実に胸がすく爽快感がある。ちなみになぜ“スカンク”かというと、犯行現場に特異な悪臭を残すため。スマートでありながらコメディ要素もあるスカンクは、マーベルのデッドプールを彷彿とさせるコミカルさがある。おふざけキャラだが“実はデキるヒーロー”をチュウォンが実に楽しそうに演じている姿を見ていると、思わずこちらも笑顔になれる。

■放送・配信情報
『財閥家の末息子～Reborn Rich～』
WOWOWオンデマンドにて配信中
演出：チョン・デユン、キム・サンホ
脚本：キム・テヒ、チャン・ウンジェ
出演：ソン・ジュンギ、イ・ソンミン、シン・ヒョンビン、チョ・ハンチョル、パク・ジヒョンほか
©Chaebol Corp. all rights reserved

『財閥家の末息子～Reborn Rich～』
https://wod.wowow.co.jp/program/199770

『スティーラー～七つの朝鮮通宝～』
WOWOWにて、7月31日（水）スタート 毎週月曜から金曜8:30〜放送・配信
WOWOWオンデマンドにてアーカイブ配信
演出：チェ・ジュンべ
脚本：シン・ギョンイル
出演：チュウォン、イ・ジュウ、チョ・ハンチョル、キム・ジェウォン、チェ・ファジョン、イ・ドクファほか
©STUDIO DRAGON CORPORATION

『スティーラー～七つの朝鮮通宝～』
https://www.wowow.co.jp/release/007053

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