Netflixランキングでも連日上位に 韓国映画『8番目の男』が突きつける“正義”は今観るべき
この映画でもう一人存在する重要な人物が、裁判長を務めるジュンギョムだ。初の国民参与裁判を滞りなく成功させることは、彼女の使命であった。被告人は罪を自白しており、証拠もそろっていたため、裁判は難しいものではないと思われていたが、陪審員たちによって、思わぬ方向に動き出す。
ジョンギュムを演じるのは、ムン・ソリ。古くはソル・ギョングとともに『ペパーミント・キャンディー』や『オアシス』といったイ・チャンドン監督の作品に出演し、カンヌやヴェネチア映画祭など、各国の映画祭で評価を得た。近年は、ドラマ『クイーンメーカー』で演じた市長選に挑む人権弁護士役の演技が忘れられない。
『8番目の男』でも、彼女がクォン・ナムに言う「法は人を罰しないためにあるのです」「むやみに処罰できないように設けた基準が、法なのです」という言葉は印象に残るし、後の物語に関わってくる。こうした、正義に対するブレのなさは、ジョンギョムやクォン・ナムだけでなく、陪審員の一人一人からも感じられ、それが本作ならではの良さに繋がっているように思える。
この物語の中に描かれる事件は、息子による母親殺しで、その背景には、貧困や偏見などが存在していることを隠さずに描いている。事件を第三者による思い込みで済まさずに、真実を見つめようとするクォン・ナムたちの粘り強さが、物語を導いていくのである。
■配信情報
『8番目の男』
Netflixにて配信中
監督・脚本:ホン・スンワン
出演:パク・ヒョンシク、ムン・ソリ、ペク・スジャン、キム・ミギョン、ユン・ギョンホ、ソ・ジョンヨン、チョ・ハンチョル、キム・ホンパ
撮影:ペク・ユンソク
編集:キム・チャンジュ
音楽:チャン・ヨンギュ
配給:クロックワークス
2019年/韓国/英題:Juror 8
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