戸塚純貴は“笑い”のポジションが心強い 『虎に翼』では寅子たちを元気づける存在に?

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 虎に翼 Part1』(NHK出版)にて戸塚は、轟について「男尊女卑な思考で頭が固そうに見えますが、実は多様性をちゃんと理解している人物です。相手が誰だろうと曲がったことは正すなど、とにかく自分に正直なんです。うわさやイメージなんて彼には通用しない、愛すべきキャラクターです」と述べている。なるほど、非常に納得感のある発言だ。戸塚の言葉どおりの轟像が生まれるのならば、彼はいずれ寅子たちにとって心強い存在となるのだろう。

 しかしそれ以前に、“戸塚純貴=轟太一”には期待することがある。それはやはり、本作におけるコメディリリーフとしてのポジションである。

 
 これまでにも『虎に翼』には、思わず笑ってしまうコミカルなシーンがいくつもあった。けれどもそれらは、誰か特定のキャラクターが担っていたわけではない。脚本に記されているコメディ要素と俳優の演技、そして演出とがうまく絡み合った結果として笑いが生まれていた印象だ。もうそろそろ、出てくるだけで場を盛り上げてくれる存在がいてもいいのではないだろうかーーそこへ現れたのが“戸塚純貴=轟太一”というわけだ。

 戸塚はコメディもシリアスも巧みに演じ分ける俳優だが、若手の中でも優れたコメディセンスの持ち主だという印象がある。ドラマ『かりあげクン』(2023年/BS松竹東急)で主演を務めていたのもその証のひとつだろう。具体的な作品やキャラクターを挙げるとキリがない。というのも、全力のパフォーマンスで笑いを取りにいくこともあれば、周囲の者との繊細なやり取りの中でじんわりと笑いを生み出すこともある。後者に関しては確かなコメディセンスがなければ実現できないものだろうし、戸塚はこれをあらゆる作品で軽やかにやってのけてきた。つまり、「クスリ」と笑える瞬間をいくつもお茶の間や劇場に提供してきたのだ。

 彼が『虎に翼』の世界に登場した以上、どうしても期待せずにはいられない。彼が生む笑いは、きっと寅子たちを元気づけるものなはず。それはつまり、寅子を応援する私たちも元気づけられることになるというわけだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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