『虎に翼』が問う“いい男”とは? 紳士的な岩田剛典と“例外”の戸塚純貴の違いを考える

『虎に翼』岩田剛典と戸塚純貴の違い

 4月18日に放送された『あさイチ』(NHK総合)の“朝ドラ受け”で博多大吉が「そろそろ、いい男出てきてほしいな」と発言していたが、そんな中で登場した花岡は果たして“いい男”なのか。そもそも、“いい男”って何だろう。例えば、寅子たちをからかっていた男子学生たちは“いい男”とは言い難いが、では寅子の父である直言(岡部たかし)や兄の直道(上川周作)は? 妻のはる(石田ゆり子)に高圧的な態度を取ることもなく、「父さん、トラが幸せなら何でもいいよ」と娘を大切に思い、血の繋がらない浪人生の優三(仲野太賀)にも金銭的に援助している直言。直道も空気の読めない発言やズレたところは多々あるが、同居で息苦しい思いをしていた花江(森田望智)を気遣って二人暮らしを始めるなど、思いやりに溢れているし、十分に“いい男”と言えるのではないだろうか。花岡はたしかに親切だが、彼が口にする“レディーファースト”という言葉にはどこか、「自分が女性に気を遣ってあげている」という傲慢さが滲む。直言や直道にはそれがない。どちらが上か下かは関係なく、真心をもって相手と接しているからだろう。

『虎に翼』

 現在放送中のTBS日曜劇場『アンチヒーロー』では、殺人事件の容疑者を演じている岩田剛典。タイプは異なるが、どちらの作品でも腹に一物抱えているような底知れなさを感じさせる演技が印象的だ。かたや戸塚純貴は、寅子たちに噛みつきつつも、梅子がお昼にクラスメイトに振る舞っていたおにぎりを美味しそうに頬張るなど、意外に隙があって憎めない轟のキャラクターを体現している。轟はよねともすでに良いコンビネーションを見せており、もしかしたら彼よりも花岡の方が寅子たちにとって難攻不落な壁となるかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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