『ブルーピリオド』眞栄田郷敦は八虎をどう演じる? 実写化の鍵は美術をめぐる心理描写

 他方で人間ドラマとしての『ブルーピリオド』を成功させる上で、必要不可欠と言える要素が1つある。役者陣の演技力だ。

 気になる実写映画版のメインキャストを見てみると、主演として八虎役を演じるのは眞栄田郷敦。実写映画『東京リベンジャーズ』シリーズの三ツ谷隆役などで知られており、ワイルドな風貌と繊細な雰囲気を併せ持つ俳優だ。八虎は高校生の頃から飲酒喫煙する不良でありながら、実は誰よりも誠実で、絵に対してまっすぐに向き合っているキャラクターなので、イメージ的にはまさに適役と言えるだろう。演技の幅も広いため、軽薄な見た目と真面目な内面のギャップを上手く演じてくれそうだ。

 また美術部員の同級生、“ユカちゃん”こと鮎川龍二役には、モデル・俳優として大ブレイク中の高橋文哉が抜擢された。龍二は一見女性に見える容姿のキャラクターで、アニメ版では女性声優・花守ゆみりが声を当てていたが、中性的なルックスの高橋であれば性別の壁を超えた演技を実現できるかもしれない。

 そのほか天才的な画力をもつ高橋世田介役には板垣李光人、美術部先輩の森まる役には桜田ひよりがキャスティングされている。『ブルーピリオド』は少年少女の葛藤と成長を描いた物語なので、年齢的にフレッシュな役者陣が揃っていることにも納得がいく。

 また、実写映画版で脚本を担当するのは、業界で知らない人はいない人気脚本家の吉田玲子。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』や『映画 聲の形』、『リズと青い鳥』など、登場人物たちの細やかな心情を描くシナリオを得意としているため、同作でもその手腕が遺憾なく発揮されるのではないだろうか。

 さらにいえば吉田はTVアニメ版の『ブルーピリオド』でもシリーズ構成・脚本を手掛けていたため、原作への理解度も高いものと思われる。

 さまざまな見どころが詰まった実写映画版『ブルーピリオド』。原作マンガやアニメ版とは違う、新たな世界を作り上げてくれることを期待したい。

■公開情報
映画『ブルーピリオド』
8月9日(金)全国ロードショー
出演:眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより
原作:山口つばさ『ブルーピリオド』(講談社『月刊アフタヌーン』連載)
監督:萩原健太郎
脚本:吉田玲子
音楽:小島裕規(Yaffle)
製作:映画「ブルーピリオド」製作委員会
制作プロダクション:C&I エンタテインメント
配給:ワーナー・ブラザース映画
©山口つばさ/講談社 ©2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会
公式サイト:blueperiod-movie.jp
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