『ベルグレービア 新たなる秘密』は時代劇なのに新しい 入り交じるロマンスとミステリー

 日本でも大人気な英国時代劇『ダウントン・アビー』制作陣による新作『ベルグレービア 新たなる秘密』が、3月25日より「スターチャンネルEX」にて配信される。

 1871年のロンドンの高給住宅地ベルグレービアを舞台に紆余曲折のロマンスを描く本作は、英国らしい正統派と近年の新潮流のおいしいとこどりをした時代劇でもある。

 2010年代に放送された『ダウントン・アビー』は、第一次世界大戦に揺れ動く名門貴族を描いた正統派な時代劇だった。ドラマティックで牧歌的な作風により、「21世紀もっとも成功した英国時代劇」とされるほどの人気を博し、故エリザベス女王もファンだったと言われている。

 2020年代に革命を起こしたのが、「Netflix史上もっとも視聴された英語シリーズ」の記録を打ち立てた『ブリジャートン家』。『グレイズ・アナトミー』で知られるションダ・ライムズによるアメリカ作品で、歴史考証を重視しない時代劇として衝撃を呼んだ。たとえば、ロンドン社交界のキャラクターの人種は多種多様。話し言葉やBGMも現代的で、ストーリー面でも、女性の権利など今日的な視点が重視されている。

 こうしたモダンな作風を取り入れた“ネオ時代劇”が、現在もっぱらのブームとなっている。たとえば、映画『哀れなるものたち』の脚本家の戯曲を原案とした『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語』は「反歴史(考証)」が売り出し文句だった。

 そんななか、『ダウントン・アビー』制作陣が発表したのが『ベルグレービア』シリーズ。ロンドンの同名高給住宅地をとりまくロマンスやミステリが行き交う時代劇だ。第1作は『ベルグレービア 秘密だらけの邸宅街』の邦題で配信中だが、今回の『新たなる秘密』ではキャラクターの世代が一新されているため、こちらから観はじめても問題ない。むしろ、本作の視聴後『秘密だらけの住宅街』を前日譚として楽しむこともできる。

 『ベルグレービア』のポイントは、英国の正統派時代劇であると同時に、不自然ではないかたちで今日的な視点をとりいれている点にある。

 今作の舞台は、産業革命期のロンドン。心優しい家庭に育った若き主人公クララは、無愛想なハンサム、フレデリックに一目惚れして、すぐに結婚してしまう。

 このフレデリックは、商人として成り上がり貴族の称号を得たトレンチャード家の嫡男。親から虐待されたトラウマに苛まれる彼は、新婚旅行の初夜でベッドから出ていくなどして、クララを混乱させていく。

 主人公の成長を描く王道ロマンスなわけだが、同時に繰り返されるテーマが「妻の幸せ」。現代の日本の視聴者からも共感されるであろう、さまざまな女性たちが登場していく。

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