朝ドラ『虎に翼』のキーワードは「はて?」 伊藤沙莉「自分自身にもリンクする」
「寅子の意見は現代的で、『なんで?』と素直に言える子なんです。その『はて?』は貴重なもので、私自身も寅子の『はて?』はいつも正しいというか、そりゃそうだよなって思うというか。私の『はて?』の代弁でもあるというか。劇中の『はて?』に対して、疑問を持たずに 『はて?』って言えるんです。寅子の『はて?』は、自分自身にもリンクするので共感しています」と伊藤は『虎に翼』を代表するセリフになるであろう「はて?」の意味合いについて話した。
第1週のラストには六法全書を手にした寅子の周りに様々な立場の女性たちが描かれている。「寅子の成長はもちろん描かれているんですけど、その背景には必ず寅子だけでなく、家族や友達とそれ以上にたくさんの強いたげられてる人たち、困ってる人たちがいたり。そういうのを背負ってやっていくということを、そういった演出で見せていたのは、身も気も引き締まりましたし、掲げたメッセージがしっかりあるところが、私は素敵だなって思いました」と伊藤は細かい部分にもしっかりメッセージが込められていることを伝えた。
会見後には制作統括の尾崎の囲み取材が開かれた。会見中に石田が「法律を扱っていることが、今の時代の日本にもピッタリくる」と話していたことについて、戦前の法律は女性が男性に比べて低い立場にあったことから、現代の視点からでも改めて法律や男性と女性の立場を見つめ直す、考え直す内容になっているのではないかと提案する。
また、岡部は第1話の冒頭で寅子が、法の下に平等であることを定めた日本国憲法第14条を握りしめている後ろ姿に「表情を見せなくても、戦ってきた、信じてきたことが見えて心掴まれた」と話していた。そのシーンについて尾崎は、寅子のモデルとなっている日本初の女性弁護士となった三淵嘉子のインタビュー音声がNHKのラジオの記録から残っていたことを明かす。
そこでは戦後に憲法が新しくできたことで男性、女性の区別がなくなり、自身もそれまではなることができなかった裁判官になることができたのが大きな人生のターニングポイントだったことが語られており、そのエピソードが元になっているのが『虎に翼』の始まりのシーンだという。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
NHK総合にて、2024年春放送
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、上川周作、森田望智、仲野太賀、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、戸塚純貴、岩田剛典、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK