『光る君へ』で毎熊克哉が背負う重要な役割 作品世界の中で輝く“ポジティブ”な異質さ

 ああ、毎熊さんが命の危機にさらされている!ーー放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)でのことである。

 『光る君へ』はじつに多彩な顔ぶれによって支えられている作品だ。そのひとつのピースを担っているのが、直秀という青年を演じる毎熊克哉。大河ドラマへの出演はこれが二度目だ。物語の展開をかき回すキャラクターとして、いま広く視聴者の関心を集めているところなのではないだろうか。

 大石静の脚本による本作は、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を平安時代に書き上げた女性・まひろ/紫式部(吉高由里子)の生涯を描くもの。平安の世ののちの最高権力者である藤原道長(柄本佑)への彼女の熱い想いを軸に、さまざまな人間模様が交差していく。

 そんな本作で毎熊が演じている直秀は、町辻で風刺劇を披露する散楽の一員。華やかな世界に身を置くまひろや道長とは真逆ともいえる社会的立場にあり、仲間たちとともに散楽をとおして政治や社会の矛盾を面白おかしく批判している存在だ。その彼が、なぜかまひろと道長に接近。生まれたときからある種の抑圧的な環境で生活をしてきたふたりからすれば、直秀の自由で型破りな言動は魅力的に映る。私たち視聴者は“まひろ視点”に立ってこの物語の世界を眺めているため、おそらく誰もが彼女と同じような心情で直秀のことを見ているのではないだろうか。本心がどこにあるのか分からない、そんな謎めいたところも彼の魅力である。

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