『Eye Love You』侑里とテオの“両片想い”に終止符が打たれる 目頭が熱くなる花岡の優しさ
振り返れば、侑里はずっと逃げる選択肢を取ってきた。ビジネスでこそ、このテレパスの能力を活かして成功に導く強かさを見せたが、ことプライベートに関しては年々本音でぶつかることを避けるようになっているように見えた。今も心の声を読まないようにと、できるだけ人と目を合わせないようにしているのがうかがえるのも、その証。それは誰よりも信頼している花岡相手でさえもそうだ。だが、このままでは侑里が本当に掴みたいと願った幸せをも逃してしまうだろう。実際に、テオとの関係も手放しそうになっていたのだから。そんな逃げ続けてきた侑里が、自分の本音に正直になるために、神様が導いた場所だったように思うのだ。
そんな侑里の葛藤をも受け止めた花岡とテオ。しかし、その愛情のカタチもまた真逆なものだった。花岡は、言葉にならない想いに苦悩する侑里に「言わなくていい。言わなくてもわかる」と告げ、テオのもとへと向かうように促す。それでも、花岡のもとを去ることをためらう侑里に「じゃんけんで決めよう」と提案する。
私たち視聴者はもう、そのじゃんけんがどんな意味を持っているのかを知っている。じゃんけんをするときには心を読まないようにと目をつぶる侑里。そのクセを知っている花岡は、いつだって侑里が目を開ける前に自分が負けるように調整してきた。勝ったと喜ぶ侑里の笑顔が見たくて。侑里に幸せになってほしくて……。学生時代から続く、侑里と花岡のじゃんけんシーンに思わず目頭が熱くなる。花岡の眼差しからは、こんなにも侑里への愛情が溢れているのに、人の目を見ることを恐れてきた侑里にその温かな視線は届かない。
そんな、いつも“じゃんけんに弱い”花岡が、今回は「勝ったら迷わずテオのもとへ行け」と言う。もちろん、じゃんけんはいつもの通り目をつぶった侑里の出した手を見た花岡が、自分の手を調整して勝つことになる。「行って来い、本宮。いいから行って!」。花岡の眼差しは、相変わらず愛情で溢れている。侑里もその目を見つめて「ありがとう、花岡くん」と告げることができた。花岡の優しさに逃げるのではなく、本心から感謝を伝えることができたのだ。テオのもとへと向かうその一歩は、ただ好きな人のもとへ向かうだけでなく侑里の成長を大きく感じさせるものとも言えるだろう。
そうしてテオと対面した侑里だが、そこでも自分の気持ちをなかなか言葉にすることができない。すると、今度はテオがそんな侑里の本音を言いやすいように気を利かせてみせる。それは、2人が出会ってまだ間もないころにした会話の再現だった。そのときも、テオはベランダにいて、侑里は下の道に立っていた。
「侑里さん、お米は好きですか?」その一声で蘇る風景がある。「はい、好きです」と答える侑里の表情に、もう迷いはない。「カレーは好きですか?」「チャーハンは好きですか?」「オムライスは好きですか?」「じゃあ、僕は?」。その問いかけに、「僕も好きです!」と即答する侑里。「テオくんのことが好きです。大好きです」。この言葉と同時に、侑里が心の壁を壊す音が聞こえたような気がした。「もう誰にも恋はしない」と閉じこもっていた自分自身を解き放つ強い決意。それだけの意味がある告白だった。
そして、いつも侑里に逃げられてきたテオにとっては、初めて心をさらけだして自分に向き合ってくれたその言葉に、思わず胸が詰まったようだった。泣くように笑う表情と共に「すごく愛してる」と叫ぶテオ。その姿に、涙腺が刺激されてしまった。ようやく素直な想いを告げることができた侑里。だが、この土地からまた新たな展開が始まるようだ。テオと名刺交換をした投資家のミン・ハナは、おそらく人の心の声が聞こえる少女の絵本を読んでくれた、あのヌナ(お姉さん)だ。人の目を見ながら左耳に手を当てていたことから、彼女自身も侑里と同じくテレパスの能力を持っているのではないかと予想できる。なぜ彼女が今テオのもとへと姿を現したのか。そして、すぐにまた姿を消した理由とは……。
そして、アイヌの伝承にもオハイヌ(神の声を聞く力)を持つ少女の話があるようだった。また、並行してテオの父親代わりでもある飯山教授(杉本哲太)が韓国語で“心の声 聞こえる 少女”と検索した結果、「見つけた」とつぶやいた言葉も気にかかる。侑里とテオの両片想いに終止符が打たれ、恋人として仲睦まじい姿を見せてくれるのかと考えると、思わず頬が緩んでしまうところ。だが、テレパスの能力に付随する謎にも少しだけ心がざわつく。2人ならきっと乗り越えてくれると信じながら、紡がれる新しい章を楽しみにしている。
■放送情報
火曜ドラマ『Eye Love You』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:二階堂ふみ、チェ・ジョンヒョプ、中川大志、山下美月、清水尋也、立川志らく、ゴリけん、鳴海唯、絃瀬聡一、杉本哲太
脚本:三浦希紗、山下すばる
演出:岡本伸吾、福田亮介、加藤亜季子
プロデュース:中島啓介、車賢智、佐井大紀
主題歌:Omoinotake「幾億光年」(Sony Music Labels)
編成:平岡紗哉、髙田脩
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/EyeLoveYou_tbs/
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