『春になったら』で奈緒の親友役を好演 ノスタルジックな見上愛は主演でも助演でも輝く

「岸くん、これからも友達でいてね。ずっと友達」

 『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系)で、岸(深澤辰哉)に“友達宣言”をしたときの美奈子(見上愛)の笑顔が、頭から離れない。大学時代から、岸のことを想い続けてきた美奈子。しかし、その岸は瞳(奈緒)に恋心を寄せている。岸の恋愛相談を聞くたび、美奈子はどんな気持ちになっていたのだろう。瞳がカズマルくん(濱田岳)と結婚したら、自分にもチャンスが巡ってくるかもしれない。そんな邪心を抱いたこともあった。それくらい好きだった相手に、友達宣言をするのはどれだけしんどかったことか。

 美奈子を演じている見上愛は、作品に味わいをプラスすることができる役者だと思う。彼女が画面に映ると、まるでフィルムカメラで撮影しているかのようなノスタルジックさを感じる瞬間がある。それは、ミステリアスな魅力を醸し出すと言われる三白眼を持っていることに加えて、彼女が纏っている妖艶な空気感が影響しているのだろう。

 地上波連ドラ初主演を務めた2022年放送の『liar』(MBS/TBS)でも、その独特なオーラが存分に活かされていた。何を考えているのか分からないからこそ、心の内をのぞいてみたくなるような横顔。2023年放送のドラマ『往生際の意味を知れ!』(MBS/TBS)で謎多き美少女・日和を演じていたときも、見上は惑わす側の役柄がハマると感じた。どこにいても、ついみんなの視線を惹きつけてしまうような。選ばれし者だけが持っている不思議なオーラを放つことができるのだ。

 『往生際の意味を知れ!』で演じていた日和は、真面目なサラリーマン・市松(青木柚)が、別れて7年経ったあとも「元カノと結婚したい」と公言し続けてしまうほどに魅力的な女性。突然、市松の前に現れたかと思えば、「市松くんの精子がほしい!」と衝撃的なことを放つ普通とはかけ離れたキャラクターだ。筆者は原作漫画を読んでいたため、ドラマ化すると知ったとき、「この癖つよな日和を三次元で表現できるのか……?」とちょっぴり不安になったのを覚えている。しかし、見上は日和特有の“アルカイックスマイル”(=口元だけが笑っている笑顔)を習得し、その裏にのぞく弱さや悲しみまでをも見事に表現していたのだ。これは振り回されてしまうだろうなぁと視聴者を納得させることができる魔性っぽさが、見上には備わっていると感じた。

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