『さよならマエストロ』“響”芦田愛菜が音楽をやめた真相 家族であり続けることの難しさ
今作の芦田愛菜はいつになく不機嫌だ。響は推しの小痴楽の演目を聞いている時以外は常に仏頂面で、ことさら俊平の前でその表情は険しくなる。何かを守るように警戒心を解かず、いらだちをぶつける言動は一見すると「思春期」だが、深い理由があることが伝わってきた。自分の感情を持てあます響は悩みの渦中にいて、今も答えを探している。そこに投げ込まれたのが俊平という火種だった。自身に災厄をもたらした俊平への態度は嫌悪というより、どんな表情をしていいかわからないのが本心ではないだろうか。
大輝役の宮沢氷魚は『ちむどんどん』(NHK総合)でもそうだったように大人数の食卓が似合う。祖父の二朗(西田敏行)が俊平に語ったとおり「二十歳の娘さんに父親がしてやれることなんてそうそうない」。ちょうど良いタイミングで大輝は響に手を差し伸べた。若い二人がどうなっていくかは、俊平との関係にも影響を与えそうだ。
コンサートの休憩時間のような第5話は家族の姿を映す間奏だった。大輝と天音(當真あみ)の家族関係も描写され、このドラマが共通の背景を持ついくつもの家族の物語であることが示唆された。元マネージャー鏑木晃一(満島真之介)によって俊平の活動再開につながる布石も打たれた。ドラマは中盤にさしかかり、役者も勢ぞろいして物語は新章へ進む。
■放送情報
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:西島秀俊、芦田愛菜、宮沢氷魚、新木優子、當真あみ、佐藤緋美、久間田琳加、大西利空、石田ゆり子、淵上泰史、津田寛治、満島真之介、玉山鉄二、西田敏行
脚本:大島里美
音楽:菅野祐悟
主題歌:アイナ・ジ・エンド「宝者」(avex trax)
撮影監督:神田創
音楽監修:広上淳一(東京音楽大学)
全面協力:東京音楽大学
企画プロデュース:東仲恵吾
プロデュース:益田千愛
演出:坪井敏雄、富田和成、石井康晴
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/sayonaramaestro_tbs/