2024.02.09 18:00

パク・シネ×パク・ヒョンシクが人生の困難に立ち向かう　心温まる一作『ドクタースランプ』

文＝伊藤万弥乃、写真＝『ドクタースランプ』（JTBC公式サイトより）

　一方、ジョンウが起こしてしまった事故には真犯人がいるような描写が度々映され、ミステリー的な要素があるのも見どころだ。詳しくはまだ明らかになっていないが、ジョンウが無実であることを彼の人柄から信じるハヌルと、キャリアがめちゃくちゃになってしまった現状に屈することなく、裁判に立ち向かうジョンウの行く末を見守っていきたい。

　本作は、今まで頑張り続けてきた2人の人生の“休み時間”を捉えている。あまりの忙しさと職場でのパワハラで心の病になってしまうハヌル。手術事故のせいで友情も破綻し、築き上げたものが一気に崩れてしまったジョンウ。そんな中でもお互いに支え合って、進もうとしていく姿が描かれる。

　最初はハヌルの病を信じられなかったハヌルの母親も、弟も、叔父も不器用ながらにハヌルのことを思っている。悲しむのではなく、むしろごちそうとケーキを用意して明るく受け入れようとする温かさがハヌルの居場所になっているし、家族の愛があるからこそ深く踏み込みにくいという距離感もリアルだ。しかしジョンウの母親は、高校時代の回想の中でとても厳しい人間に見えたため、ジョンウが育ってきた環境やハヌルが知らないバックグラウンドも今後のキーになるだろう。