『夜明けのすべて』ベルリン国際映画祭正式出品決定 松村北斗「本当に幸せに思います」

 SixTONESの松村北斗と上白石萌音がW主演を務める映画『夜明けのすべて』が第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式招待されることが決定。キャスト・スタッフから喜びのコメントが到着した。

 『そして、バトンは渡された』で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名小説を映画化する本作。『ケイコ 目を澄ませて』が第72回ベルリン国際映画祭に出品されるなど国内外で高評価を得た三宅唱が監督・共同脚本を務めた。

 月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石萌音)はある日、同僚・山添くん(松村北斗)のある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりにもかかわらず、やる気がなさそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめて、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく2人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。

 ドイツ現地時間2月15日から25日にかけて開催される第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に本作が正式出品されることが決定。フォーラム部門は、新しい視点を含む大胆で革新的な作品を集めた部門で、強い個性や多様性のある物語が選出されている。

 ドイツ・ベルリンにて毎年2月に開催されるベルリン映画祭は、カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭のひとつとされており、日本の映画人では黒澤明や山田洋次をはじめ、濱口竜介監督の『偶然と想像』が銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞、行定勲が『パレード』『リバース・エッジ』にてパノラマ部門国際批評家連盟賞を、荻上直子が『彼らが本気で編むときは、』でパノラマ部門テディ賞審査員特別賞を受賞するなど、名だたる映画監督たちが評価されてきた。

 三宅監督作品としては、2019年の『きみの鳥はうたえる』(フォーラム部門)、2023年の『ケイコ 目を澄ませて』(エンカウンターズ部門)以来2年連続、3回目のベルリン国際映画祭選出となり、自身の長編監督作品が全てベルリン映画祭に招待されることになる。さらに、パニック障害を抱えた青年・山添くんに扮した松村は、昨年声優として出演した『すずめの戸締まり』でも第73回ベルリン国際映画祭に正式出品されており、今年で2年連続の招待となる。松村は同作で、アニメ界のアカデミー賞とされる第51回アニー賞で声優賞(映画部門)へのノミネートを果たしたばかりだ。

 ベルリン国際映画祭正式出品決定にあたり、松村は「この歴史あるベルリン映画祭への参加が決まった事を『夜明けのすべて』チームの一員としても松村北斗個人としても本当に誇りに思います。この映画は大きな世界の小さな街の話です。誰もが生きづらさを感じる今に、生きることが少し楽になる願いを込めた映画です。そんな映画が世界に届く事を本当に幸せに思います。世界中の誰しもが自分なりの生きづらさを抱えていると思います。そんな方々に願いを込めながら参加したいと思います」と喜びのコメント。上白石は、「映画の一員として、そしてこの映画を好きないち観客として、とても嬉しいです。描かれているのは、世界のどこで暮らしていても感じ得る心の機微です。作品の温もりが海を超えて、誰かの心をすこしでも軽くできますよう願っています」とコメントを寄せた。

映画 『夜明けのすべて』ロング予告【2月9日(金)公開】

 あわせてロング予告も公開。山添くん(松村北斗)の「男女の友情が成立するかっていうどうでもいい話をする人がよくいますよね。それって相手にもよるし答えなんてないし、僕はどうでもいいと思うんですよ。ただ明らかなことがひとつだけ分かりました」というセリフから幕を開け、パニック障害を抱えたことで電車に乗れなくなるなど以前のような日常生活を送れなくなった山添くんの姿と、月に一度のPMS(月経前症候群)で自らをコントロールできなくなり、薄暗い部屋でひとり思い悩んだり、雨の中のバス停で倒れ込み警察官に介抱される藤沢さん(上白石萌音)の姿が映し出されていく。「自分の発作はどうにもならないんですけど、3回に1回くらいは藤沢さんのこと助けられると思うんですよ」と伝えた山添くんは、PMSの症状が出ている藤沢さんの気をそらして、心を和らげるために洗車に誘い、温かい飲み物を差し入れる。

 一方で藤沢さんは、山添くんの恋人・大島千尋(芋生悠)から「藤沢さんみたいな方が会社にいてくれて良かったです。ありがとうございます。彼と向き合ってくださって」と感謝の言葉を受け取るようになる。さらには、ふたりを見守る職場の同僚や前職の上司との触れ合いを通じて笑顔を見せる様子も。映像の最後は、帰宅中の路上で藤沢さんが「また明日」と声を掛け、互いにひとりの日常に溶け込む姿で幕を閉じている。

コメント

三宅唱(監督)

『夜明けのすべて』原作者である瀬尾まいこさんに感謝申し上げます。そして、すべての俳優、すべてのスタッフの美しい仕事を誇りに思います。ベルリンを皮切りとして世界中のさまざまな人々に『夜明けのすべて』を無事に届けられるよう、またどんな反応があったかお知らせできるよう、引き続き大切に進めていきます。国内外問わずさまざまな状況下を生きるみなさんが心穏やかに映画を愉しめるような世の中に少しでもなることを心より願っています。

松村北斗

この歴史あるベルリン映画祭への参加が決まった事を
「夜明けのすべて」チームの一員としても
松村北斗個人としても本当に誇りに思います。
この映画は大きな世界の小さな街の話です。
誰もが生きづらさを感じる今に、
生きることが少し楽になる願いを込めた映画です。
そんな映画が世界に届く事を本当に幸せに思います。
世界中の誰しもが自分なりの生きづらさを抱えていると思います。
そんな方々に願いを込めながら参加したいと思います。

上白石萌音

映画の一員として、そしてこの映画を好きないち観客として、とても嬉しいです。
描かれているのは、世界のどこで暮らしていても感じ得る心の機微です。
作品の温もりが海を超えて、誰かの心をすこしでも軽くできますよう願っています。

瀬尾まいこ(原作者)

ベルリン映画祭への正式出品、本当におめでとうございます。
三宅監督、スタッフの皆さん、出演者の方々が丁寧に、
小説を温かく深い世界にして下さったことに感謝しています。
私たちの生きている今の世界を離れることなく、
すぐそばにいてくれる見た人の心をそっと照らしてくれるこの素敵な映画を、
海外の方にも見ていただけると思うと嬉しいです。

Barbara Wurm(Berlinale Forum ディレクター)

男性はパニック障害を抱え、女性は極度のPMSに悩まされている。彼らの会社は社員にとんでもないものを提供する。というとそのようには聞こえないかもしれないが、実は小津安二郎の世界そのものなのだ。ここの人々は気配りができ、気づかないうちにお互いに良いことをしている。私も、私のチームも皆この作品が大好きって、もう言ったかしら? 

■公開情報
『夜明けのすべて』
2月9日(金)ロードショー
出演:松村北斗、上白石萌音、渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、久保田磨希、足立智充、りょう、光石研
原作:瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社/文春文庫刊)
監督:三宅唱
脚本:和田清人、三宅唱
音楽:Hi’Spec
製作:『夜明けのすべて』製作委員会
企画・制作:ホリプロ
制作プロダクション:ザフール
配給:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
公式サイト:yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp
公式X(旧Twitter):@yoakenosubete
公式Instagram:@yoakenosubete_movie

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