『ブギウギ』歌手・福来スズ子が完全復活 米兵のサム役ジャック・ケネディの正体は?

 スイングの女王復活のステージは、積もりに積もったうっぷんを吹き飛ばす最高のショーになった。『ブギウギ』(NHK総合)第70話では、歌手・福来スズ子(趣里)の戦後が始まった。

 舞台に飛び出したスズ子はやる気に満ちていた。戦争中は許されなかった真っ赤な衣装に身を包んで、ステージを所せましと駆け回る。歌い終えて「久しぶりで体がもたん。せやけど最高やった。ただいまって気分や!」とりつ子(菊地凛子)に語りかけた。愛助(水上恒司)は帰宅したスズ子に「生きてて良かった。僕は今日の福来スズ子を一生忘れへん」と手放しで称賛。スズ子も「これからは誰に何を言われようと自分の好きに歌う」と決意した。

 スズ子を見つめる観客の中には羽鳥(草彅剛)の姿もあった。上海で拘束された羽鳥は苦労の末、引揚船で日本に戻ってきた。スズ子たちは羽鳥との再会を喜ぶ。羽鳥は憔悴していたが、その表情は明るく「上海で新しい音楽の可能性を手に入れた」と期待を込めて話した。あるじのいない羽鳥家では麻里(市川実和子)と子どもたちが羽鳥を迎え、その中には戦争中に生まれた次女もいた。

 戦争で国は敗れたものの、焼夷弾の降ってこない空の下で、それぞれが再出発していた。ささやかであっても未来に希望を抱けることの象徴がじゃがいもや宝くじだ。自宅で育てたじゃがいもは大きく実り、収穫の時を迎えた。これまでの苦労が報われ、感慨はひとしおだったろう。スズ子と小夜(富田望生)は神妙な顔つきでラジオを見つめる。現在の宝くじは昭和20年にスタートしたもので、当選番号がラジオで読み上げられた。スズ子と小夜の番号はなく、外れて心底悔しがる小夜がおかしい。うなぎをお腹いっぱい食べる夢はお預けになったが、宝くじの当選に一喜一憂できるのも世の中が平和だからだ。

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