『らんまん』が描いた関東大震災の恐ろしさ 万太郎が瓦礫の中から救い出す“自分自身”

 標本は、寿恵子や千歳、虎太郎と同じ「家族」であり、万太郎自身といえよう。そして寿恵子ら家族も、そのことを十分理解している。たった1人で標本を救い出そうとする万太郎に、寿恵子は「ください!」と声を張り上げ、救い出す作業に加わる。一度は「標本なんか、どうでもいいじゃない!」と声をあげた千歳も、万太郎と寿恵子の様子を見て、力を尽くす。

 関東大震災は短い時間の中で大きな揺れが何度も起こったことが知られている。1回15分の物語の中で、ありふれた日常が一変するさま、揺れの凄まじさ、人々の混乱が描き出された第123話。千鶴(本田望結)も加わり、万太郎たちは間一髪で持ち出した標本とともに避難する。だが、図鑑発刊を間近に控えていた万太郎がこの後、茫然自失となることは想像に難くない。最終回が近づく『らんまん』の終幕が希望に満ちたものになることを願ってやまない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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