宇野維正の興行ランキング一刀両断!

年内も次々に公開予定のジャニーズ出演映画 予想される逆風と留意すべきこと

 先週末の動員ランキングは、北条司の人気漫画『シティーハンター』の国内では5作目のアニメーション映画化となる『劇場版シティーハンター 天使の涙』が、オープニング3日間で動員21万1000人、興収3億2500万円をあげて初登場1位となった。同じアニプレックス配給&サンライズ制作の2019年2月公開の前作『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』の最終興収は15.3億円。今回も同程度の成績が見込めそうな順調な滑り出しとなっている。

 初登場の実写作品で最も上位につけたのは、5位の中田秀夫監督、橋本環奈&重岡大毅(ジャニーズWEST)ダブル主演の『禁じられた遊び』だ。オープニング3日間の動員は8万2000人、興収は1億1100万と、「東映配給のホラー作品」という作品の枠組をふまえても少々渋い出足となっている。

 周知の通り、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長の性加害問題を巡って、8月29日の再発防止特別チームの会見、及び、そこでの提言を受けての9月7日のジャニーズ事務所の会見がおこなわれて以降、国内のエンターテインメント関連の報道はジャニーズ一色と言っていい状況となっている。この問題を以前から追求していた週刊文春などごく一部のメディアは別として、これまでの報道姿勢や事務所との抜き差しならない関係に関して上部だけの謝罪や反省の弁を述べただけのテレビ局や報道機関(特に事務所から散々便宜を図られてきたスポーツ新聞などには自社の過去のスタンスに関する検証すら公にしていないメディアも多い)にどれだけその資格があるのか甚だ疑問ではあるが、その論調は事務所に対して極めて厳しいものだ(それ自体は事件の内容をふまえれば当然だが)。

 現状、多くのメディアが積極的に取り上げているのは、被害者に対する救済やケアについてのことではなく、所属タレントの広告やテレビ局の番組出演のキャンセルに関するトピックだ。番組出演に関しては、ジャニーズ事務所所属タレントの看板番組やMC番組だけでなく、ゲストとして出演映画のプロモーションの一環として出演するケースも多いので、既に公開が決まっている作品の宣伝において(報道されない水面下での動きも含めて)少なからず影響が出てくるだろう。

関連記事