松坂桃李が語る、『クレヨンしんちゃん』への懐かしさと愛 「かじりついて観ていた」

 1992年からTV放送が始まり、平成を彩ってきた子供向けアニメといっても過言ではない『クレヨンしんちゃん』。放送開始から30年の時を経て、大根仁監督・脚本により、『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』として、シリーズ初の3DCGで劇場アニメ化された。

 野原しんのすけと同じ超能力を手に入れる非理谷充を、松坂桃李がゲスト声優として演じる。1988年生まれの松坂も『クレヨンしんちゃん』を「テレビの前に座ってかじりついて観ていた」と語るが、そんな松坂は“令和版”とも言える本作に参加することについてどのような想いを抱いていたのか。作品に募る想いから、『クレヨンしんちゃん』ファンに楽しんでほしいポイントまでを聞いた。(編集部)【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「あっ、いま自分がしんちゃんと喋っている!」という感動

ーー『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』のキャストに決まったときの気持ちを聞かせてください。

松坂桃李(以下、松坂):小さいころに観ていた『クレヨンしんちゃん』の劇場版に自分が出られるとは夢にも思っていませんでした。なので、お話をいただいた時は本当に嬉しかったです。

ーーもともと『クレヨンしんちゃん』が好きだったのですね。

松坂:毎週夕方の時間帯になると、テレビの前に座ってかじりついて観ていた記憶があります。

ーー非理谷充は、松坂さんのイメージとはかけ離れた役のようにも見えました。脚本を読んだ時にどう感じましたか?

松坂:声の仕事では『パディントン』でのパディントン役のように明るいキャラクターが多く、悪役をやらせてもらったことはありませんでした。まさかこのような役をいただけるとは思いもしなかったので、非理谷のように闇を抱えたキャラクターをやらせてもらえることには嬉しさがありました。

ーーチャレンジングな役だとは感じましたか?

松坂:これは映画の本編を観るとわかるのですが、非理谷は超能力をしんちゃんと全く逆の方向に使い始めます。もともと闇の性質を持っている人間が超能力を手に入れることによって、悪いことに使ってしまう。「誰にも俺のことは止められないぜ」みたいな感じを表現する難しさもあれば、ちょっとした楽しさもありました。

ーー今回はしんちゃんとの掛け合いも多かったですね。しんちゃん役の小林由美子さんとは話されましたか?

松坂:僕が声を入れるときには既にしんちゃんの声が入っている状態だったので、小林さんと直接のやり取りはありませんでした。でも、ヘッドホンの中からしんちゃんの声が聞こえてくるので、子供時代を懐かしく思いながらやらせていただきました。

ーー子供時代の松坂さんからしたら夢のような時間ですね。

松坂:本当に、「あっ、いま自分がしんちゃんと喋っている!」と感動しました。

ーー大根仁監督とはディレクションのやり取りなどもありましたか?

松坂:少しやり取りがはありました。後半で悪い心を持った非理谷がしんちゃんと対峙することによって、ある変化が訪れる。その心の機微を細かくディレクションしていただきもらいました。

ーー『クレヨンしんちゃん』ならではの感動シーンもたくさんあったと思います。特に心に響いたのはどこでしょう?

松坂:普段はおちゃらけているしんちゃんが、非理谷に向けて熱い言葉を放つシーンがあります。そこで、ものすごく男らしいしんちゃんを見ることができました。今までのしんちゃんとは違った一面が垣間見られて、感動と共にカッコいいとも感じて。しんちゃんといえば、“かわいい”とか“おもしろい”イメージのほうが強いけれど、いつもと違う“カッコいい”しんちゃんを見ることができた気がします。

ーー途中、バディもののような熱いシーンもありましたね。私は熱い作品が好きなので、泣きながら観てしまいました。

松坂:途中ありましたね! あそこは泣けますよね。

ーーまさに、大人でもグッときますね。本作は「応援される」「味方がいる」ということもテーマの一つになると思います。松坂さん自身、“応援されたからこそ頑張れた”というエピソードはありますか?

松坂:この役者の仕事自体が、応援してくださる皆さんのおかげで頑張れています。視聴者の方や劇場に足を運んでくださる方が「応援しています!」「この作品観ました」「面白かったです」と言ってくださっているのが耳に入ってきたときは、やっていてよかったと感じます。

ーーやはりファンの方の応援は支えになっているのですね。

松坂:そうですね。最近のことですが、『離婚しようよ』(Netflix)を観た方から「あのポンコツキャラ、本当にクズですね」と言われたときには「ありがとうございます」という気持ちになりました。こういった話はマネージャーさんから伝え聞くことが多いのですが、皆さんからの声が届くのは嬉しいものです。

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