『エルピス』岡部たかしだけじゃない！　話題作を支える演劇畑出身の実力派曲者たち

　演劇ファンである筆者にとってもっと映像作品でも見たい俳優は数多くいる。『チワワちゃん』（2019年）や『真夜中乙女戦争』（2022年）、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』（2022年／NHK総合）などに顔を見せてきた成河は、そのほかにも映像作品への出演は多数あるものの、年間を通してつねに舞台に立っているほど演劇領域での活躍が顕著。アクロバティックな演技にも対応できる高い身体性と特徴的な声はたしかに演劇作品でこそ活きるのかもしれないが、彼のこの力をフィーチャーした映画などをぜひ観たいものである。

　大人気の劇団イキウメの看板俳優である安井順平は、「よく見る」という方が多いのではないだろうか。『エルピス』では刑事役を演じていたし、毎クール何かしらのドラマに出演している。映画『燃えよ剣』（2021年）で山南敬助役を好演していたのが強く印象に残っているが、どちらかといえばその器用な演技で脇を固めるポジションを務めることが多い。作り手にとっては何でもこなせるバイプレイヤーとして貴重な存在なのだろうが、彼の個性を活かした代表作となるような映画がそろそろ観たいものである。5月から上演のイキウメ新作『人魂を届けに』が待ちきれない。

　ハイバイや劇団た組など良質な演劇作品に参加し、映画、ドラマでも信頼を得ている若手俳優には山脇辰哉がいるし（NHK朝ドラ『らんまん』にも出演）、劇団子供鉅人の元メンバーで、一人芝居『押忍、わたしたち』を成功させたばかりのうらじぬのは、『ブラッシュアップライフ』（日本テレビ系）での好演が話題を呼んだ。劇団柿喰う客に所属の玉置玲央は『おかえりモネ』（NHK総合）などでお茶の間で広く知られるようになり、『夜を走る』（2022年）で映画ファンの心を鷲掴みに。5月には出演した最新映画『あの子の夢を水に流して』が公開される。

　そして演劇ファンにとってここ数年の映像領域での活躍ぶりが凄まじいのが筒井真理子だ。第三舞台の俳優として80年代の“小劇場ブーム”を生きた彼女も『エルピス』に出演していたし、映画『淵に立つ』（2016年）で高い評価を集めて以降、『よこがお』（2019年）などでより主体性の強い人物を演じる機会が増え、主演作『波紋』が5月26日から公開される。同作が世に出たとき、映画界における彼女の立ち位置はさらに変わるのではないかと思う。

　ここまでに名前を挙げた俳優たちは、演劇界に軸足を置く優れたプレイヤーたちのほんの一部に過ぎない。芝居漬けの日々を過ごした人々が、あらゆる話題作を支えているのだ。もしも映像作品で気になる俳優を見つけたならば、ぜひ彼・彼女らの出演している演劇作品を観に行ってみてほしい。ライブ空間でこそ味わえる演技の真価というものがあるし、そこでは新たな俳優との出会いもあるだろう。

■リリース情報
『エルピスー希望、あるいは災いー』
5月26日（金）発売 ※レンタル同日リリース（全5巻）

＜Blu-ray BOX＞
価格：26,400円（税込）

＜DVD-BOX＞
価格：20,900円（税込）

【封入特典】
・スペシャルブックレット（24P）

【映像特典】
・メイキング
・長澤まさみスペシャルインタビュー
・長澤まさみ×鈴木亮平×眞栄田郷敦 3ショットインタビュー
・渡辺あや×佐野亜裕美 インタビュー
・エルピス in カンヌ
・八頭尾山連続殺人事件 特集映像
・スピンオフドラマ「8人はテレビを見ない」

※収録内容、商品の仕様等は予告なく変更となる場合あり

出演：長澤まさみ、眞栄田郷敦、三浦透子、三浦貴大、近藤公園、池津祥子、梶原善、片岡正二郎、山路和弘、岡部たかし、六角精児、筒井真理子、鈴木亮平
脚本：渡辺あや
演出：大根仁、下田彦太、二宮孝平、北野隆
音楽：大友良英
主題歌：Mirage Collective「Mirage」（SPACE SHOWER MUSIC）
プロデュース：佐野亜裕美、稲垣護、大塚健二
発売元：関西テレビ放送株式会社
販売元：株式会社ハピネット・メディアマーケティング
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